2016 Fiscal Year Research-status Report
母体テストステロンを介した産子の卵巣予備能低下機構に関する研究
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16K18787
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Research Institution | Hokkaido Research Organization |
Principal Investigator |
古山 敬祐 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 農業研究本部根釧農業試験場, 研究主任 (50611026)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 卵巣予備能 / テストステロン / 乳牛 / 卵胞数 / 妊娠期 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、妊娠牛の一般的な飼養管理に存在する産子の卵巣予備能低下リスクの解明のために、「卵巣予備能の評価方法の検討」と「母牛の産次と妊娠期における血中テストステロン濃度および産子の卵巣予備能との関連性の解析」を行った。まず、卵巣予備能の評価指標の1つである卵巣内での直径3 mm以上の卵胞数(Antral Follicle Count: AFC)の初産次以降の再現性を検証した。AFCにおける1・2、2・3および3・4産次間の級内相関係数(ICC)は、それぞれ0.93、0.87および0.76であり、3・4産次間に比べて、1・2産次間のICCの方が有意に高かった。1・2および2・3産次間のICCは高く、統計的な差も見られなかったことから、1から3産次までのAFCは個体内での再現性の高い指標であると考えられた。また、AFCの3分位点に基づいてhigh群、intermediate群およびlow群に泌乳牛を分類し、繁殖成績の比較を行った。初回授精受胎率に群間での差は見られなかったが、分娩後100日までの妊娠率はhigh群が最も高く、分娩後200日までの非妊娠牛割合の推移もhigh群は他群と異なっており、分娩後速やかに妊娠牛が増えていた。以上の結果から、1から3産次までのAFCは受胎能力と関連する卵巣予備能の指標として活用可能であることが明らかとなった。続いて、母牛と産子のAFCとの関係を母牛の産次別に検証した。母牛が未経産牛であった産子のAFCは、母牛が経産牛であった産子のAFCよりも有意に少なかった。また、未経産牛での妊娠期の血中テストステロン濃度は、経産牛に比べて妊娠期全体を通して有意に高い値であった。以上の結果から、母牛の産次は産子のAFCに影響し、その機構に妊娠期での母牛の血中テストステロンが関与している可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね予定通りに進行しているが、平成28年度に実施予定であった「テストステロンプライミングによるin vivo における牛原始卵胞発育誘導機構の解明」に関する試験の進捗状況は少し遅れている。サンプル採取に必要な器具の確保が予定よりも遅れたためである。既に、器具は確保できており、平成29年度以降に実施予定の試験は行える見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、妊娠期の血中テストステロン濃度に影響を及ぼす要因の解析およびテストステロンプライミングによるin vivo における牛原始卵胞発育誘導機構の検証を主に実施する。また、卵巣予備能を若齢期に評価するための指標の検討も行う。
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Causes of Carryover |
当初予定していた「テストステロンプライミングによるin vivo における牛原始卵胞発育誘導機構の解明」に関する試験の進捗が遅れたためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
「テストステロンプライミングによるin vivo における牛原始卵胞発育誘導機構の解明」に関する試験実施の際に必要となる物品費として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)