2017 Fiscal Year Research-status Report
母体テストステロンを介した産子の卵巣予備能低下機構に関する研究
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16K18787
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Research Institution | Hokkaido Research Organization |
Principal Investigator |
古山 敬祐 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 農業研究本部根釧農業試験場, 研究主任 (50611026)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 乳牛 / 妊娠期 / テストステロン / 卵巣予備能 / 卵胞数 / AMH |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、3つの試験を実施した。まず、卵巣予備能を若齢期に評価するための指標の検討を行った。卵巣予備能の評価として用いられている性成熟時期以降(12ヶ月齢)の血中AMH濃度と1-5ヶ月齢の血中AMH濃度の比較を行ったところ、12ヶ月齢の血中AMH濃度と有意な正の相関が見られたのは、3-5ヶ月齢の血中AMH濃度であった。続いて、妊娠母牛の一般的な飼養管理に存在する産子の卵巣予備能低下リスクの解明のために、産子の卵巣予備能が経産牛に比べて低い未経産牛を対象にし、妊娠母牛の血中テストステロン濃度および健康状態と産子の卵巣予備能との関連性を解析した。妊娠2-9ヶ月目の妊娠母牛の血中テストステロン濃度と産子(4ヶ月齢)の血中AMH濃度を比較したところ、妊娠4および5ヶ月目の妊娠母牛の血中テストステロン濃度と産子の血中AMH濃度の間には有意な負の相関が見られた。妊娠4ヶ月目の血中テストステロン濃度が高かった個体は、高くなかった個体に比べて、妊娠2-4ヶ月目までの日増体量が有意に低かった。最後に、テストステロンによる牛卵胞の発育誘導機構を明らかにするために、テストステロン投与による血中AMH濃度の変化を解析した。非泌乳牛6頭(投与群3頭・非投与群3頭)に対して、テストステロン投与試験を実施したところ、投与牛の血中テストステロンおよびAMH濃度は、非投与牛に比べて有意に上昇した。テストステロン投与による血中テストステロン濃度の上昇が卵巣内卵胞動態に影響を及ぼしたと考えられた。以上の結果から、若齢期での卵巣予備能の評価に3-5ヶ月齢の血中AMH濃度が有用であること、そして、妊娠4ヶ月目の母体血中テストステロン濃度上昇を招く妊娠2-4ヶ月目の母体の栄養不良が、テストステロンによる胎子卵巣内卵胞発育誘導を介した産子の卵巣予備能低下リスクとなりうる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね予定通りに進行しているが、平成29年度に実施予定であった「テストステロンプライミングによるin vivoにおける牛原始卵胞発育誘導機構の解明」に関する試験内容を変更した。in vivoでの卵巣サンプル採取が困難となったため、in vivoの内分泌動態を詳細に解析することで目的達成を目指す内容に変更し、良好な結果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、平成29年度と同様に妊娠期の血中テストステロン濃度に影響を及ぼす要因の解析およびテストステロンプライミングによるin vivoにおける牛卵胞発育誘導機構の追加検証を実施し、解析の信頼度を高める。平成29年度の結果から、母体の栄養状態と血中テストステロン濃度との関連性が示唆されたため、母体の飼養管理改善による母体血中テストステロン濃度の抑制効果の検証も実施する。
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Causes of Carryover |
「テストステロンプライミングによるin vivo における牛原始卵胞発育誘導機構の解明」に関する試験内容を変更したためである。そして、その変更に伴い必要となった牛個体の内分泌動態を解析するために必要な物品費として使用する。
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