2017 Fiscal Year Research-status Report
右心機能に心エコーがどこまで迫れるのか?-肺高血圧症モデルを用いた検討-
Project/Area Number |
16K18800
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
中村 健介 宮崎大学, テニュアトラック推進機構, 准教授 (80625898)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 肺高血圧 / 心エコー / strain |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は前負荷の影響を受けない心エコー指標を探索することを目的として、正常犬7頭に対して乳酸リンゲル液の急速静脈内投与(150 ml/kg/hr)を行い容量過負荷モデルを作成し、心エコー図検査の右心機能指標と心臓カテーテル検査で得られる心機能指標の経時的変化を評価した。また、前負荷指標である右室拡張末期圧(RVEDP)と心エコー図での右室機能指標との関連を評価した。 輸液負荷により多くの心臓カテーテルによる指標ならびに心エコー図指標は経時的に変化した。前負荷の指標である右室拡張末期圧(RVEDP)は輸液開始15分に顕著に増加した後は30分でほぼプラトーに達し、90分まで大きな変動は認められなかった。一方、心エコー図指標については、三尖弁輪部移動速度S’TV、三尖弁輪部移動距離TAPSE、右室断面積変化率FAC、右室総合機能指標Tei-indexなどのconventionalな右室機能指標のみならず、右室strain(RVLS)ならびにstrain rate(RVLSRs)も全体global、自由壁free wall、中隔septalの全てが輸液開始から15分で速やかに上昇した。一方、右室の同期性の指標であるRV-SD6はほぼ変動が認められず、輸液開始前から開始後90分間の全てにおいてほぼ安定した値を示した。 前負荷の指標であるRVEDPと各指標の相関を評価したところ、RVLSを含む多くの指標がRVEDPと相関する中、RV-SD6は相関が認められなかった(p = 0.85)。 心機能指標は前負荷、後負荷、心機能、を反映して変動するが、肺高血圧においては前負荷になるべく依存しない指標が求められる。本研究においてRV-SD6が前負荷の影響を最も受けにくい指標であることがあきらかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者の異動に伴い研究の進捗状況の停滞が懸念されたが、前所属機関との連携が極めて円滑に行えていることや、現職での大学運営業務の少なさによって、予定通り順調に進める事ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
概ね予定通りに進めることができており、「実験的肺塞栓犬による検討」についてもすでにいくつかの成果については学会報告を行える程度に結果をまとめることができた。これを踏まえて本年度さらに研究を重ね、論文報告する予定である。また、研究機関の異動に伴い、肺動脈塞栓の自然発症例に遭遇する機会が大幅に増加しており、これらの症例を基にした臨床的な検討も新たに展開する予定である。
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Causes of Carryover |
異動に伴い、当初見込んでいた実験動物飼育費が大幅に減額されたため。
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