2018 Fiscal Year Research-status Report
右心機能に心エコーがどこまで迫れるのか?-肺高血圧症モデルを用いた検討-
Project/Area Number |
16K18800
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
中村 健介 宮崎大学, テニュアトラック推進機構, 准教授 (80625898)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 肺高血圧 / 右心機能 / 心エコー |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は当初予定していた慢性肺塞栓モデルによる検討を行うことが研究スタッフ数の不足により困難であったため、肺高血圧症の犬の臨床例を対象とした臨床研究を行った。健常対照群(54頭)と肺高血圧症例群(21頭)を組み入れ、両群間における心エコー検査による右室機能指標(右室断面積変化率、三尖弁付着部移動距離、右室ストレイン)を比較した。肺高血圧症例群において右室は遠心性および求心性肥大しており、右室機能は低下していた。特に右室ストレインにより評価することができる右室の同期性は症例群で著しく障害されており、肺高血圧症患者では右室の効率的な運動が障害されいていることが明らかとなった。この右室同期障害を有していた症例では、より三尖弁逆流速度が速く、右室遠心性肥大が顕著で 、右室機能の低下も顕著であり、肺高血圧症の重症度が増すにつれて顕在化してくる現象であると考えられた。これらの結果は人の肺高血圧症患者におけるものと一致していた。肺高血圧症患者ではより重度の同期障害を有する場合、予後が不良であることも明らかになっており、犬においても同様に予後不良である可能性がある。また右室同期障害の発生には肺動脈圧上昇、右室遠心性肥大(拡張)が関与していると考えられた。これらをより詳細に解析するため例数を増やした検討や前向き研究が必要であり、今後解決すべき課題も多いが、本研究により臨床的に有用な知見が得られたと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の異動に伴い、計画当初に想定していた研究協力者数を充足することができず、計画の遅延が余儀なくされた。そのため昨年度は人的コストを要しない臨床研究に努めた。
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Strategy for Future Research Activity |
幸いにして研究スタッフは順調に増加したため今年度は予定通りの研究計画を進める事が可能であると予想している。本年度はすでに作成した肺塞栓モデルの急性期における解析を進めるとともに、慢性期における心エコーならびに血行動態の評価を行うことで研究計画を完遂する予定である。
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Causes of Carryover |
研究代表者の異動に伴う人員不足により、当初計画よりも研究の進捗に遅れを生じたため。幸いにして、2019年度から大学院生2名が入学した事に加え、所属する学部学生も倍に増えたことから、本年度は残る研究計画を全て遂行することが充分に可能であると想定している。
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