2018 Fiscal Year Research-status Report
犬尿路感染症原因菌の薬剤感受性判定基準に関する検討:臨床的ブレイクポイントの確立
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16K18804
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
原田 和記 鳥取大学, 農学部, 准教授 (80549543)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 抗菌治療 / 尿路感染症 / 臨床的ブレイクポイント |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はESBL産生菌の尿路感染症に対する候補治療薬の一つであるファロペネムの尿中濃度と尿中殺菌価(UBT)を実験犬を用いて測定した。その結果、ファロペネム投与後の尿中濃度とUBTはいずれも投与後0-4時間で最大となり、8-12時間で低下した。8-12時間の平均尿中濃度は23μg/mlであり、ESBL産生菌のMIC90(1μg/mL)を十分に超えるものであり、ファロペネムの1日2回投与の有用性が確認された。また、同様にホスホマイシンについても実験犬を用いて、尿中濃度測定及びUBTを測定したところ、同様に投与後4-8時間で最大となり、8-12時間まで低下する傾向を示した。ただし、UBTは株によりやや傾向が異なった。投与後12時間のホスホマイシンの濃度は660μg/mLと非常に高く、ESBL産生菌のMIC90(32μg/mL)を十分に超えるものであり、ファロペネムと同様に1日2回投与でESBL産生菌に起因する尿路感染症に適応可能なことが示唆された。 また、尿中由来細菌の薬剤感受性調査については、CitrobacterとSerratiaについて調査しており、両者の菌種の薬剤感受性には一部薬剤で差があること、Citrobacter freundiiについてはESBL産生菌が確認されたこと、同一病院内で同一の遺伝子性状、薬剤耐性性状を有する多剤耐性菌が分離されたことから、多剤耐性の尿路感染菌による院内感染が生じうることが示唆された。 経験的ブレイクポイントに関する調査については、約200検体について株の収集とその菌が分離された個体における治療経過についてのデータが収集することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動物実験、疫学調査、経験的臨床ブレイクポイントに係る調査について、データ等が集積されてきており、論文についても投稿できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度に当たるため、株の収集は年度前半でとどめることとし、その後は株の性状解析等を中心に実施する予定である。 また、併せて犬に対する抗菌薬の投与実験により、抗菌薬の血中動態と野外株の薬剤感受性データに基づくPK/PDパラメータの測定も実施する予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Species distribution, virulence factors and antimicrobial resistance of Acinetobacter spp. isolates from dogs and cats: a preliminary study2018
Author(s)
Y. Kimura, K. Harada*, T. Shimizu, T. Sato, A. Kajino, M. Usui, Y. Tamura, Y. Tsuyuki, T. Miyamoto, A. Ohki and M. Watarai
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Journal Title
Microbiology and Immunology
Volume: 62
Pages: 462-466
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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