2017 Fiscal Year Annual Research Report
An allograft mouse model with rapid spontaneous metastasis and hyperferritinemia using mouse reticulum cell sarcoma cell line J774
Project/Area Number |
16K18807
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
近澤 征史朗 北里大学, 獣医学部, 講師 (80566547)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 組織球肉腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度の当該研究においてマウス由来網内系肉腫細胞株J774の同種移植法が決定され、1×10の6乗個のJ774を背部皮下移植されたBALB/cマウスでは中央生存期間が約30日の高い致死性を示す腫瘍が形成されることが分かった。平成29年度では得られた条件にて作出された担癌マウスを用いて生体に生じる種々の変化、特に死因について検討した。担癌マウスは死亡する直前に顕著な呼吸状態の悪化が観察され、さらに解剖時に点状~び漫性の肺出血が認められた。また、肺や脾臓、肝臓における明らかな臓器腫大が認められた。死亡直前のマウスから得られた各臓器を病理組織学的および免疫組織化学的検査に供したところ、腫大臓器ではマクロファージマーカーの一つとされるCD204に陽性反応を示す細胞が著しく増加していることが分かった。また、肺ではCD204陽性細胞が肺血管内に充満している像が多数観察された。これらの結果は担癌マウスでは皮下移植したJ774細胞が血行性に速やかな自然転移を起こすことを強く示唆するものであった。また、血清フェリチン濃度については死亡直前の担癌マウスにおいて著しい高フェリチン血症が観察されたことから、犬の組織球肉腫との類似性が確認された。一方で興味深いことにJ774担癌マウスでは腫大した諸臓器における明らかな腫瘍塊が認められず、び漫性の全身転移を示すと考えられた点は犬と異なる表現型であった。 犬の組織球肉腫をはじめとする網内系細胞由来の悪性腫瘍は動物種を問わず極めて悪性度の高い腫瘍を形成する傾向がある。その転移メカニズムについては不明な点が多く、獣医学臨床分野における今後の重要な研究課題である。本研究において完全な免疫状態を保持したマウスへの同種移植法が確立され、その病態生理の一端が明らかにされたことから、関連研究における有益な生体モデルの候補を提供する成果であると考えられた。
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