2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K18809
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
井関 博 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究部門 ウイルス・疫学研究領域, 主任研究員 (90548207)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Eimeria / コクシジウム / 伝染性ファブリキウス嚢病 / IBD / ワクチン / 鶏 / 原虫 / 寄生虫 |
Outline of Annual Research Achievements |
伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス(IBDV)のVP2遺伝子を発現するEimeria tenellaの作製に成功した。 トキソプラズマ原虫のGRA1 (dense granule protein 1)遺伝子の翻訳を誘導するプロモーター領域の下流にIBDVのVP2遺伝子を組み込んだプラスミドを作製し、これをエレクトロポレーション法によりE. tenellaのスポロゾイトに導入した。E. tenellaのスポロゾイトに高効率に遺伝子を導入するエレクトロポレーションの条件が不明であったため、トキソプラズマを参考に試薬や電圧の条件を設定した。当初の計画では、スポロゾイト液を培養細胞(牛腎臓由来株化細胞)に接種し、プラスミドベクターにコードされる薬剤耐性遺伝子及び緑色蛍光遺伝子(GFP)を利用して外来遺伝子の導入に成功した虫体のみを選択する予定であった。しかし、蛍光を呈するスポロゾイトが培養細胞で確認できなかったため、鶏を使ったin vivoによる薬剤選択を試みた。スポロゾイトは経口感染しないため、鶏の盲腸に直接注入し、感染性オーシストを糞から回収・精製した。得られたオーシストの一部からDNAを抽出し、VP2遺伝子を標的とするPCRを実施したところ目的のサイズのバンドが確認された。しかし、得られたオーシストの数が極めて少なかったため、継続した解析ができず、鶏に再度接種して原虫を増やすことが必要となった。そのままオーシストを経口接種した場合、数が少なすぎて感染せずに遺伝子組換え体を失う恐れがあったため、オーシストからスポロゾイトを取り出し、鶏の盲腸に接種して原虫を増やすことにした。現在、トランスジェニックE. tenellaを含む糞を回収して精製中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では、平成29年度内にIBDVのVP2遺伝子を発現するトランスジェニックE. tenellaをクローニングし、これを鶏に接種したときに鶏が産生する抗VP2抗体を測定することとしている。初年度が終了した現在のところ、トランスジェニックE. tenellaの作製までは終わっているが、原虫のクローニングが終わっていない状態である。クローニングした原虫のオーシストを鶏に経口接種し、継時的に採取した血清を用いて抗VP2抗体の産生をELISA法で確認すれば、二年度目の目標も達成できる見込みである。ただし、当初予定していたin vitroでのクローニングが難航しているため、in vivoによるクローニングをする必要があり、時間的にはかなり厳しい状況ではある。
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Strategy for Future Research Activity |
糞から精製したオーシストに十分な量のトランスジェニックE. tenella(tE. tenella)が含まれていれば、GFPをマーカーとしたセルソーティングにより遺伝子組換え体のクローニングを実施する。十分量ない場合は、再度鶏を通して遺伝子組換え体を増やしてから実施する。クローニング後は、tE. tenellaに発現するVP2蛋白質を抗IBDV抗体が認識することを確認し、合わせて間接蛍光抗体法によりVP2の局在を確認する。また、抽出したDNAを用いてVP2遺伝子が挿入されたゲノムの位置を確認し、蛋白質の局在との相関を調べる。上述のデータを元に候補となる株を幾つか選抜し、鶏にオーシストを経口接種して継時的に血液を採取する。得られた血液サンプルに含まれる抗VP2抗体の産生量を比較し、最終的なワクチン候補株を選抜する。
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Causes of Carryover |
研究資材が当初見積もりより安価に購入できたため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の消耗品に使用
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