2016 Fiscal Year Research-status Report
子宮免疫反応制御技術を活用した新たな牛性選別精液人工授精システムの開発
Project/Area Number |
16K18810
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Research Institution | Fukuoka Agricultural and Forestry Research Center |
Principal Investigator |
山口 昇一郎 福岡県農林業総合試験場, 畜産部, 研究員 (30502520)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 性選別精液 / 牛 / 人工授精 / カフェイン / 子宮内白血球 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、牛性選別精液が実用化されており、普及拡大が期待されているが、封入精子数が少ないことから特に経産牛での受胎率が低いことが課題となっている。人工授精により注入された精子は子宮内で異物と認識され、子宮内に遊出した白血球により貪食されることが知られている。本研究では、精子損耗の要因となる子宮内での異物認識の解明及び申請者らが豚で明らかにしたカフェイン等によるその制御方法を活用し、牛性選別精液でも通常精液と同等の成績が得られる人工授精システムを構築することが目的である。 平成28年度は、深部注入器を使用した人工授精体系において、人工授精時に注入器に封入した精液を押し出す「押出し液」について検討した。試験1では、カフェインを添加する基礎培地について3種類比較検討した。試験2では、試験1で決定したカフェイン添加希釈液で性選別精液の人工授精を行い、人工授精後の子宮内白血球数について検討した。 試験1では、1種類の希釈液でカフェインによる自発的な先体反応を起こすことなく精子活力を維持できた。試験2では、人工授精後の子宮内白血球について調査したところ、人工授精未実施に比べカフェイン無添加区は、2倍程度の白血球数の増加が認められた。一方、カフェイン添加区において、子宮内白血球数の増加は認められなかった。以上のことことから人工授精時に押出し液としてカフェイン添加希釈液を使うことで子宮内の白血球数が減少できる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
試験1で基礎培地の決定ができ、試験2に関しては、例数が少ないものの、押出し液としてカフェイン添加希釈液を使うことで子宮内の白血球数が減少させることができることが示唆されたため、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、試験2の例数を増やすとともに受胎性についても検討を行う。今後、現地実証試験を行い、酪農現場での評価を行うことも検討している。
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Causes of Carryover |
少額の残額がでたため次年度に繰り越したもの。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度に物品費として使用予定。
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