2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K18815
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中島 友紀 九州大学, 稲盛フロンティア研究センター, 特任助教 (50743126)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 卵母細胞 / 休眠 / クロマチン形態 |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳類の卵母細胞は性成熟前の個体では、卵胞上皮細胞(顆粒層細胞)に取り囲まれた卵胞として第一減数分裂前期で停止した状態で休眠している。性成熟後に性周期に伴い一部の卵胞が発育を開始し排卵に至るが、発育を開始した卵胞のうち99%が選択的に消失する。卵母細胞の休眠と卵形成に伴う選択的消失は性周期を有する多くの動物種において共通の現象であり、優良な子孫を残すための戦略の一つであると考えられるが、その制御因子や分子メカニズムはほとんど明らかにされていない。そこで本研究では、卵形成の初期段階である原始卵胞における卵母細胞の休眠維持およびその後の選択的消失メカニズムを明らかにし、その生理的役割の解明を目的としている。休眠中の原始卵胞における卵母細胞がどのような状態(形態的および分子的特徴)で生体内に存在しているか、またその状態が休眠中のすべての卵母細胞で均質であるか明らかにされていない。そこで、本年度においては、哺乳類の原始卵胞における卵母細胞の休眠状態を解析するため、休眠中のマウス原始卵胞における卵母細胞がどのような状態で生体内に存在するか解析することを目的とした。 まず、原始卵胞が存在すると予想される発生ステージ(胎児期後期、新生児期、春季発動時、性成熟後)のマウス卵巣からの卵母細胞の回収条件を確立した。 次に、回収した卵母細胞の形態を分類するため、形態的特徴の一つであるクロマチン形態を解析するため、卵母細胞における核染色条件を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の研究目的は休眠中のマウス原始卵胞における卵母細胞がどのような状態で生体内に存在するか解明することであり、具体的にはマウス卵巣に存在する休眠中の卵母細胞の形態および分子的特徴を明らかにすることである。 上記研究目的を達成するための研究計画は、クロマチン形態を指標としたマウス卵母細胞の形態的特徴の同定を行ったが、分子的特徴の解析を完了していないため進展がやや遅れていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策として、H29年度の研究実施計画である卵母細胞休眠維持機構の解明を試みる。具体的には、1. RNAシーケンスを用いた卵母細胞における遺伝子発現プロファイルを行うことで、休眠中の卵母細胞の分子的特徴を明らかにし、2. 卵母細胞における休眠を調節する候補分子を絞り込む。さらに、3. 卵母細胞において休眠調節候補因子の遺伝子ノックダウンもしくはノックアウトを用いて生理的機能を解析することで、卵母細胞における休眠調節メカニズムを解明する。 本年度において、卵母細胞の回収法および核染色法を確立したことにより、本年度はより効率的な解析が可能となる見込みがあると考えられる。
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Research Products
(1 results)