2016 Fiscal Year Research-status Report
下垂体に潜り込み組織幹細胞として機能する神経堤由来細胞の解析
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16K18818
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
吉田 彩舟 明治大学, 研究・知財戦略機構, 日本学術振興会特別研究員 (40772744)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 下垂体 / 神経堤細胞 / 幹細胞 / 発生 / 分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、これまで外胚葉由来と考えられてきた内分泌器官である下垂体前葉に関して、第四の胚葉として注目を集める神経堤細胞がその起源の一部を構成する可能性を検証するものである。具体的には、神経堤細胞の運命追跡が可能な遺伝子改変マウス (P0-Cre/flox-EGFP) の下垂体を組織化学的に解析し、下垂体の発生、分化と神経堤細胞の関係を検証する。 本年度は、まず、成体のP0-Cre/flox-EGFPマウス下垂体を用いて、神経堤由来細胞が下垂体のホルモン産生細胞(最終分化細胞)ならびに未分化な幹細胞・前駆細胞として存在しているかを組織化学的に検証した。その結果、成体下垂体に存在する5種類の下垂体前葉ホルモン産生細胞、ならびに幹・前駆細胞に関して、それぞれの約 5 - 10%が神経堤由来細胞であることを見出した。この結果から、下垂体前葉の起源はこれまで考えられてきた外胚葉だけでなく、その一部を神経堤由来細胞が構成するという新知見が得られた。 次に、これら神経堤由来細胞が、発生過程のどの時期に下垂体内へ侵入してくるのかをP0-Cre/flox-EGFPマウスの胎仔を用いて検証した。その結果、神経堤由来細胞は、下垂体発生の初期 (マウスE9.5) に口腔上皮の細胞として侵入すること、また、中期 (マウスE14.5) に間葉系の細胞として侵入することを見出した。これらの結果から、神経堤由来細胞は、少なくとも下垂体の発生初期と中期といった二回に分け、下垂体内に侵入してくることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね順調に研究は進んでいる。しかし、下垂体内に神経堤由来細胞が存在する意義を調べることに関しては、若干、解析が遅れているため、重点的に進める必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
正常下垂体における神経堤由来細胞の存在有無、ならびにその分布に関しては、解析がほぼ終了した。次年度は、下垂体幹細胞の一部が神経堤由来細胞である点に注目し、神経堤由来幹細胞と非神経堤由来幹細胞の性質(特に増殖能や分化能)をin vitroのアッセイ系で評価する。 また、下垂体では、生理的な変化が生じた際、特定のホルモン産生細胞が供給される現象が知られている。そこで、こうした細胞新生と神経堤由来細胞の関係性を解析するために、標的器官(副腎など)除去をP0-Cre/flox-EGFPマウスに行い、神経堤由来の幹細胞からホルモン産生細胞が供給されるかを検証する。
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Research Products
(1 results)