2016 Fiscal Year Research-status Report
一本鎖DNAを用いた高効率ノックイン法とそれによるモデル動物の作製
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16K18821
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
三浦 浩美 東海大学, 医学部, 特定研究員 (90599523)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | レポーターノックインマウス / コンディショナルノックアウトマウス / 一本鎖DNA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、独自の長鎖一本鎖DNA合成法(ivTRT法)を、これまでの我々の報告よりも更に長い一本鎖DNAの合成に応用し、それを用いた複数種類のノックインマウス(レポーター遺伝子挿入マウス、及びflox配列挿入によるコンディショナルノックアウトマウス[CKO])作製を行った。また、ivTRT法より簡便な一本鎖DNA合成法の開発についても検討した。レポーター遺伝子挿入マウスに関しては、T2A-蛍光遺伝子(約1-2kb程度)の一本鎖DNAを合成し、肝繊維化に伴い発現が上昇することで知られているアルブミン、Mmp9、Mmp13遺伝子の下流にノックインを行った。また、Ambra1、Pitx1のコンディショナルノックアウトマウスの作製も同様の方法で行った。その結果、約@-@%の高効率でノックイン個体を作製できることが明らかとなった。またそれらのマウスから次世代を得ることができ、系統として樹立することができた。特にコンディショナルノックアウトマウスの作製では、loxP配列を単独で2カ所に挿入するといった既存の方法も試みたものの成功はしなかったが、本手法を用いることで作製することができた。 新たな一本鎖DNA合成法に関しては、φ29DNAポリメラーゼ、λエキソヌクレース、エキソヌクレースⅠの3種類を用いた方法を試みた。期待通りの一本鎖DNAが得られたのはλエキソヌクレースを用いた時のみであった。しかしながら、本法では二本鎖を一本鎖にする分解系を用いているため、合成したい一本鎖DNAの長さによってその都度条件検討を行う必要があるなど、課題も残されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究計画通り、あるいは予定以上に進んでおり、上述した内容(研究実績の概要に記述したノックインマウス、コンディシナルノックアウトマウスの作製)を含んだ論文を既に投稿済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本手法を利用してさらなるマウスの作製とその解析を進めていく。特に1年目に作製したコンディショナルノックアウトマウスに関しては、実際にCreマウスを交配することによってfloxed配列が除去されること(KOできること)を確認する。またアルブミン遺伝子にiRFPをノックインしたマウスに関しては、IVISを用いて蛍光検出できるかを検討する。Mmp9、Mmp13遺伝子へのレポーターノックインマウスに関しては四塩化炭素(CCl4)を反復投与することで線維化を誘導後、蛍光が検出できるかを検討する。
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Causes of Carryover |
多くの条件検討を見込んで使用額を見積もっていたが、当初の予定よりも少ない実験で条件を決定することができたため、今年度の使用額の減少に繋がった。一方で、早めに本実験を開始でき、予定よりも多くのマウスを作製した。そのため、次年度にそれらのマウスの維持、繁殖、解析等の経費に回したいと考えている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度の研究計画遂行のためには、実験動物の作製、維持、繁殖、解析に必要な経費、および核酸関連試薬の経費を要する。また結果が出次第、研究発表、論文投稿に経費を使用したい。具体的には、本手法を利用した更なるマウス作製費用(30万円)、IVIS測定のためのマウス特殊試料(15万円)、実験用動物施設の利用経費(Alb、Mmp9、Mmp13、Ambra1、Pitx3、Creマウスなど)ケージチャージ45円として70万円、核酸関連試薬として20万円、学内共同施設利用料20万円、学会発表、論文投稿等に30万円程度を使用したい。
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