2016 Fiscal Year Research-status Report
ナノバブル水の潅漑による湛水水田土壌の還元抑制に関する基礎的研究
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16K18829
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
南川 和則 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境変動研究センター 気候変動対応研究領域, 主任研究員 (60601151)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ウルトラファインバブル / 気候変動 / 水田 / 溶存酸素 / 温室効果ガス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は2回の湛水土壌培養実験を実施し、純酸素から作成したナノバブル水の潅漑による土壌還元の抑制効果を検証した。 2回の実験では、好気的な前培養期間を変えることで、培養前に投入した稲わら残渣の分解程度を調整した。すなわち、1回目の実験では、前培養期間を短く(7日間)設定し、より多くの有機物が本培養まで残っているのに対して、2回目の実験では、前培養期間を長く(13日間)設定し、残っている有機物量を少なくした。ポット下端から一定速度で常時排水し、排水量ならびに、その中の溶存二酸化炭素排出量や溶存メタン排出量などを8週間の培養期間中に定期的に測定した。対照水(水道水)と酸素ナノバブル水(対照水と同じ水道水から作成)に対して、それぞれ3反復(ポット)ずつ設けて、常時湛水を保つように適宜、手動で潅漑した。上述項目の期間積算量を算出・比較した。 まず、前培養期間の変更による有機物残存量の調整については、溶存二酸化炭素排出量の違いから、その妥当性を確認した。すなわち、1回目の実験ではその量が、2回目の実験に対して2.4倍となった。 残存有機物量が多い1回目の実験については、溶存メタン排出量に対して有意な(p<0.05)効果が見られ、対照水に比べて酸素ナノバブル水によって23.9%の削減となった。一方、残存有機物量が少ない2回目の実験については、溶存メタン排出量に有意な効果は見られなかった。1回目の溶存メタン排出量は、2回目の量の23.1倍となったため、土壌還元の程度が大きく異なったことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度に予定していたマイクロセンサーを用いた土壌培養実験が、器材の破損により失敗してしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度に予定されているイネの栽培実験に加えて、初年度に失敗したマイクロセンサーに改善策を施して、再度同様の土壌培養実験も実施する。 また、初年度に得られた結果について、学会発表において成果を公表する。
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Causes of Carryover |
初年度の研究の進捗が予定より遅れたため、当初購入予定であった機器の購入を見合わせたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
初年度の残額にて、予定の機器を本年度に購入するとともに、当初から予定していた本年度の使用額を適切に執行する、
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