2017 Fiscal Year Research-status Report
都市緑地の持続的な創出・維持のための木質バイオマス総合利用の評価
Project/Area Number |
16K18831
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
寺田 徹 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 講師 (00619934)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | バイオマス利用 / 里山 / 熱利用 / 再生可能エネルギー / 都市林業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度の海外先進事例調査を踏まえ、以下の3点について研究を実施した。 1.大都市近郊におけるバイオマスの総合利用について、その経済性を評価するモデルを、既往論文の手法を組み合わせて開発し、ケーススタディとして、柏市のデータを使って評価を行った。またこの成果について、Urban Forestry分野の第一人者であるCecil Konijnendijk教授と、柏市内で現地見学を実施しながら議論を行った 2.1の成果として、大都市近郊においては、農村部のバイオマスを都市のバイオマス合わせて都市部で熱利用することが経済性を高めるにあたり必要なことが明らかとなりつつある。これを実現するために乗り越えるべき条件について、現在の大都市近郊部の社会経済状況や土地利用の観点から、課題および展望それぞれについて考察を行った(Terada 2017a, Terada 2017b) 3.柏市の里山におけるバイオマスの生産性について、研究成果を実際の里山保全活動に活用すべく、地元NPOと共同で研究会を開催し、情報交換および成果のアウトリーチを行った(小林・寺田・山本 2018) なおこれまでの検討にて、バイオマスの総合利用を考える場合、廃棄物が主体となる都心部より、緑地由来と廃棄物由来のバイオマスとがいずれも供給されている郊外部を対象とするほうが、より計画的に意味があると考えられるため、今後の研究では郊外部での検討を中心に進めていく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
バイオマスの総合利用の経済性や実現に向けた社会的隘路については評価分析が進んでいるものの、理論的な検討に留まっており、実際の熱需要を想定した社会実装レベルでの評価まで到達できていない。この理由は柏市における実地調査(商業施設や温浴施設等におけるボイラー熱需要を施設レベルで明らかにする調査)が遅れているためであり、これを加速する必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年次であるため、以下の検討を行うことで研究をまとめていく。 1.柏市における熱需要の実地調査を進め、大都市近郊におけるバイオマスの総合利用についてのケーススタディを完結させる 2.バイオマスの総合利用と、欧州で発展しているUrban Forestry分野との知見を組み合わせ、1の成果も踏まえて、緑地計画と資源利用計画を結合するための計画論的な検討を行う
|
Causes of Carryover |
国内調査の進捗が滞り、予定していた旅費が支出できなかったため。来年度計画的に調査を進め、本年度分を執行する。
|