2016 Fiscal Year Research-status Report
共生クロレラがもつ細胞内共生に関連する遺伝子の探索とその機能解明
Project/Area Number |
16K18836
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
藍川 晋平 神戸大学, 科学技術イノベーション研究科, 特命助教 (40567252)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 細胞内共生 / 共生クロレラ / 微細藻 / ミドリゾウリムシ |
Outline of Annual Research Achievements |
微生物間の細胞共生メカニズムの解明は学術的に重要なだけでなく、有用物質を高生産する微生物の創成などのバイオテクノロジーの基盤となると期待される。しかし、これまでに細胞内共生を可能にする遺伝子およびその分子機構は充分に明らかにされていない。本研究では、ミドリゾウリムシと共生関係をもつ、共生クロレラの細胞共生の成立に関わる遺伝子を特定することを目指す。これまでの研究で研究代表者は共生クロレラの共生能欠損株の作出に成功している。この数株の共生能欠損株のリシーケンス、遺伝子発現解析、および表現型の比較解析を行い、細胞内共生に関わる遺伝子を特定する。本年度はこれまでに引き続き、共生能欠損株の作出を試み、ミドリゾウリムシとの共生実験を行った。その結果、数株の共生能欠損株の獲得に成功した。また共生能欠損株と野生株の光照射培養条件における遺伝子発現比較解析を行うために、遺伝子発現量の解析法の開発を行った。現在、遺伝子発現比較解析を進めている段階である。さらに共生能欠損株と野生株との表現型の比較を行ったところ、野生株に比べて、中光条件において、共生能欠損株で増殖速度が低下していることがわかった。また共生能欠損株の光合成初期過程における励起エネルギー移動を調べたところ、光エネルギー移動に違いがみられた。また光合成電子伝達活性について調べたところ、強光照射後の光合成能が低下している可能性があることが判明した。これらの表現型の違いと共生能欠損について、解析を進めている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
重イオンビーム照射により安定して共生能欠損株が得られており、遺伝子解析法の開発も進んでいる。また表現型についてもいくつかの優位な差異が得られており、重要な知見が得られていると期待できるため。研究協力者とも、充分な議論を行えており、円滑に研究活動が進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
課題Ⅰ)ゲノム解読済みのChlorella variabilis NC64Aを材料とし、その共生能欠損株を重イオンビーム照射により作出する。 課題Ⅱ)次世代シーケンサーを用いた共生能欠損株のRNA発現量解析をおよびゲノムのリシーケンスにより、細胞内共生の成立機構に関する遺伝子を探索する。 課題Ⅲ)共生クロレラの遺伝子組み換え法を開発する。 課題Ⅳ)課題Ⅰで作出した重イオンビーム照射株について、増殖能を評価し、共生能との相関関係を調べる。また光合成能に関しても共生能と野生株との比較を行い、その相関関係を調べる。
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