2016 Fiscal Year Research-status Report
イナミドを用いた複雑な生理活性複素環の簡便合成法の開発と創薬展開
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16K18842
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山岡 庸介 京都大学, 薬学研究科, 助教 (60624723)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | イナミド / 酸 / 複素環 / 生物活性物質 / 中員環 |
Outline of Annual Research Achievements |
新しい反応系の開発は、単純に新規反応の開発に貢献するだけでなく、より効率的な医薬品や生理活性物質の合成が可能となる。イナミドに対し有機酸を作用させることにより生じるケテンイミニウムは非常に活性の高い求電子種であり種々の求核剤と反応することができるため、イナミドは非常に魅力的な合成素子である。しかしながら、ケテンイミニウムを用いた反応開発はあまりなされておらず、ケテンイミニウムを鍵とする含窒素複素環合成反応を検討することとした。本研究では、イナミドに対し有機酸を作用させることによるケテンイミニウム形成を鍵とする効率的環化反応について研究をおこなった。 (1)スピロ五員環形成を鍵とする連続反応によるイナミドを用いた複雑天然物の効率的全合成;原料であるイナミドは3つのフラグメントから2つのカップリング反応により合成できた。所望の多成分連続反応が進行する条件は見つけられていないものの、目的物の中間体であるスピロインドリンは良好に進行することを見出すことができた。現在、つづく連続反応の検討をおこなっているところである。また予期せぬ反応も見出したので、本反応の最適化も含め検討していく予定である。 (2)効率的含窒素中員環化合物の合成;すでに初期段階として適切な位置に2重結合を有するエンイナミドを用いて種々の検討を行った結果、強酸触媒としてトリフルオロメタンスルホン酸を10モル%、トルエン中反応をおこなうことで、7から9員環の含窒素複素環を効率的に合成できることをみいだした。さらに種々の置換様式のエンイナミドに対しても反応は良好に進行し、多彩な含窒素複素中員環も合成できた。現在、種々の官能基変換もおこなっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)目的の連続反応は進行しなかったものの、その中間体を得ることが出来た。現在は連続反応を進行させるべく、種々の酸触媒の検討をおこなっている。 (2)エンイナミドをもちいた含窒素複素中員環は良好に合成できた。今後さらなる発展として有用生理活性物質への変換も可能となり、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)目的の連続反応は進行しなかったものの、その中間体を得ることが出来た。現在は連続反応を進行させるべく、種々の酸触媒の検討、基質の調整により改善していく予定である。 (2)目的とする反応の開発は良好に成功した。基質適用範囲の拡大ならびに誘導体合成を検討する予定である。
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Research Products
(2 results)