2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of photolabile protective group for nitrile groups and its application to photoinduced NO donor furoxan
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16K18844
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松原 亮介 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (90401223)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 光反応 / 光感受性保護基 / ニトリル基 / カルバゾール |
Outline of Annual Research Achievements |
一酸化窒素(NO)は、重要な生体内シグナル伝達物質であり、血管拡張作用、血小板凝集抑制作用、神経細胞間長期増強現象の逆行性シグナルなど生体内で様々な機能を有する。そのため、医薬品のターゲット分子として活発に研究がなされている。しかしながら、常温で気体、難水溶性のNOを、場所・時間・量を制御して供給する手法の開発はいまだ発展途上である。 フロキサン(1,2,5-oxadiazole 2-oxide)は、1990年代に、生理条件下にて一酸化窒素を放出することが報告された。安定で扱いやすく、さらに薬剤耐性が起こらないことから、新しい分子骨格を有する一酸化窒素ドナーとして研究が活発化している。申請者らは近年、強いNO放出能を有する3-シアノフロキサン(R1 = CN、以下3CFと略す)の短段階効率的合成法を確立した。また、得られた3CFのニトリル基を、より電子吸引性の乏しい官能基へ変換することで、NO放出能を大きく抑制できることを明らかにした。 そこで申請者は、3CFのニトリル基を光感受性保護基で保護した3CF前駆体を創製すれば、光照射によって場所・時間・量を制御して3CFを生成させることができると考えた。 今回カルバゾール由来の光増感剤を用いるとオキシムエーテルからシアノ基が発現することを見出した。基質の適用範囲は広く、アルキルアルデヒド由来のオキシムエーテルだけでなく、芳香族アルデヒド由来のオキシムエーテルも反応に適用できることを示した。さらに、官能基共存性の調査を行ったところ、一般的に存在するアルコールやアミン、アルデヒドなど広い範囲にわたり共存性が高いことが分かった。 これにより初めてニトリル基をターゲットとする光感受性保護基の創製に成功した。
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Research Products
(12 results)