2016 Fiscal Year Research-status Report
インドリルグリシン不斉構築を基盤とした新規非天然アミノ酸含有ペプチド合成法の開発
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16K18845
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
猪熊 翼 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学系), 特任助教 (40541272)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ペプチド合成 / 非天然アミノ酸含有ペプチド / 不斉触媒 / Friedel-Crafts反応 / 疎水性アンカー |
Outline of Annual Research Achievements |
ペプチドへの直接的不斉反応の適用を指向して、メチルアミド構造を有するN-4-メトキシフェニル(PMP)イミンを用いてインドールとのFridel-Crafts反応を検討した。その結果、本基質とN-TBS保護インドールとの不斉Friedel-Crafts反応において3,3’位にかさだかいトリフェニルシリル基を有するキラルBINOL型リン酸触媒が有効に機能し、86%eeで目的の付加体を得ることができた。次に、得られた付加体からの更なるアミノ酸伸長及び脱保護を行い、本戦略による非天然アミノ酸含有ペプチド合成プロセスの実現妥当性を検証した。結果として、各工程におけるアミノ酸のラセミ化は一切観測されなかったものの、アミノ基に導入されたPMP基の除去における収率は48%であり更なる改善が必要であることが分かった。そこでPMP基に替わる新たな保護基の探索を行ったところ、PMP基の替わりに2-ニトロフェニルスルフェニル(Nps)基を用いることで、不斉反応の立体選択性(80%ee)を保ったまま、ペプチド合成の際に必要となるすべての工程において90%を超える高い収率を与えることが分かった。モデル基質での合成ルートを確立できたので、当初の予定に従って疎水性アンカーを用いてペプチド合成への適用を試みた。文献既知の疎水性アンカーに対して3残基のグリシンを導入し、N末端のNps保護、酸化によるイミンへの変換、インドールとの不斉Friedel-Crafts反応を行い、その後、脱保護とチロシン残基の導入を経て、アンカーからの切り出しを行った。結果としてインドリルグリシン残基を含む4残基のペプチドの合成に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画で用いる予定であったN-PMPイミンによるペプチド合成への展開は困難であったが、替わりにN-Npsイミンを利用することで、それが可能であることを新たに見出だし、本来は次年度に行う予定であったペプチド合成への適用を開始することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
まずN-Npsイミンとインドールの不斉反応の更なる最適化を行い、立体選択性の更なる改善を図る。次にペプチド合成において利用できるアミノ酸残基の適用範囲を探る。最後に芳香族アミノ酸が活性発現に重要な既知の生物活性ペプチドの配列をもとに、本戦略によって当該残基をインドリルグリシンに置換した誘導体ペプチドを合成する予定である。
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Causes of Carryover |
研究が当初の想定以上に円滑に進み、不斉反応条件の検討において早期に最適条件を見出すことができ、それにかかる試薬等の購入に必要な費用を節約できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ペプチド合成用試薬および設備の追加購入に充てることで、生物活性ペプチドの創出のさらなる効率化を図る。
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Research Products
(4 results)