2016 Fiscal Year Research-status Report
多剤耐性克服作用剤の創生を志向したドミノ型ダブルスピロ環化反応の開発とその応用
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16K18853
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
横江 弘雅 星薬科大学, 薬学部, 助教 (10613622)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ドミノ反応 / スピロ環化 / 多剤耐性克服効果 / 全合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度の研究計画に従って、ドミノ型ダブルスピロ環化反応における反応条件の最適化とベンジル位に分岐を有する基質への応用について検討を行ったところ以下の結果を得た。 ①反応基質となるプロピオルアミド誘導体の簡便で大量合成に耐えうる合成法を見出した。市販の化合物から4工程で目的の環化前駆体を得ることができる。全行程の収率は90%以上であり、精製操作も簡便なことから、環化原料へのアクセスの容易さを示すことができた。また分岐型の基質についても、カップリング反応を経る簡便な合成ルートを確立し、今後さまざまな誘導体が合成可能であることを示すことができた。 ②金、銀、白金、水銀触媒、ヨウドニウム試薬などの求電子剤、添加剤、溶媒、反応温度について検討を行ったところ、望むドミノ反応に最適な反応条件を見出すことに成功した。当初の想定通り、置換基のかさ高さを選択することで、シス型、トランス型が作り分けられることを明らかにした。 ③最適化条件を分岐型の基質に適用し、ベンジル位置換誘導体を用いても、望みの環化反応が円滑に進行することを明らかにし、非天然型誘導体の合成前駆体を得ることができた。 ④二重ヨウ素化に続くドミノ反応を見出すことができた。これは、上述した最適化条件とは別に、当初予想した反応様式とは異なった新規反応であり、思いがけない発見であった。本反応は、今後の誘導体合成へ向けて有用な武器になる上に、反応メカニズムの面からも興味深いものであると考えている。次年度は、研究計画書にのっとり合成を進めつつも、この新規反応についても検討を行い、理解を深めていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績①~③に示したように、想定通りの結果を得ることができただけでなく、④に示すように有用な新規反応を見出すに至ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、研究計画書にのっとり合成を進めつつも、前述の新規反応についても検討を行い、理解を深めていきたい。
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