2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of new transformation of polycyclic aromatic compounds utilizing reactive carbon-iodine(III) bond
Project/Area Number |
16K18854
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
武永 尚子 名城大学, 薬学部, 助教 (60734845)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ヨウ素 / 芳香環 / 複素環 / 多環式 / 核酸塩基 |
Outline of Annual Research Achievements |
芳香族化合物は、創薬化学や有機材料化学分野において最も重要な構成単位のひとつであるが、多環式芳香族化合物は出発原料として供給されている誘導体の種類が少なく、その官能基導入も単環式の芳香族化合物に比べて十分には確立されていない。多環式芳香族化合物の新たな反応開発が望まれており、本研究では、多環式芳香族化合物の新しい活性化法の開拓を目標とした種々の反応開発の検討を行った。 核酸医薬品の開発が注目されている近年、多環式芳香族の一例として核酸塩基誘導体の新規合成法の開発は重要である。このような背景下、本研究では前年度までにプリン塩基誘導体へのメタルフリー求核分子導入反応や、核酸塩基の新規合成素子となるウラシルヨードニウム塩の効率的合成法を見出している。そこで今年度は、さまざまな置換基やカウンターアニオンを有する種々のウラシルヨードニウム塩を合成し、分子設計により安定性を向上させることを検討した。さらに、合成したヨードニウム塩を新規合成素子として活用するウラシルのビシナル官能基化法を検討した。ウラシルヨードニウム塩からの環状歪みアルキンの発生条件について、塩基や溶媒、ヨードニウム塩の配位子の検討を行ったところ、基質は反応性の高い環状ウレア構造を有しているため、脱離反応を選択的に引き起こす塩基の選択が重要となることが明らかとなった。また、ウラシルヨードニウム塩とフランをLiHMDS存在下反応させるとDiels-Alder生成物が得られ、ウラシルのふたつの二重結合炭素を一挙に官能基化することができる新しいビシナル官能基化法を開発した。本法を用いると、合成難易度の高い環構築を高効率に行うことが可能であり、複雑な芳香環化合物の骨格構築に適用することが可能などその応用範囲は広く、合成化学への寄与も大きいと考えられる。
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