2016 Fiscal Year Research-status Report
タンパク質間相互作用を標的とした遺伝性アミロイドーシスの創薬研究
Project/Area Number |
16K18875
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
佐藤 卓史 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 助教 (70555755)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | トランスサイレチン / 家族性アミロイドポリニューロパチー / ファージディスプレイ / ペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)は,血清タンパク質であるトランスサイレチン(TTR)の変異体により形成されたアミロイド線維が神経を中心に全身諸臓器に沈着する予後不良の遺伝性疾患である。細胞から分泌された変異型TTRは野生型と比べて細胞外環境でミスフォールドしやすく、変性した変異型TTRが凝集し、アミロイド線維を形成する。我々は変異型TTRの細胞外分泌を抑制し、細胞内で変異型TTRを分解することがFAPの新たな治療標的となることを見出しており、その候補化合物であるTTR四量体化阻害剤の創薬シーズの創出を目指している。 本研究では、TTRのサブユニット界面に結合し、四量体化を阻害するペプチドをファージディスプレイ法により同定することを目的とした。サブユニット界面に結合するペプチドを効率的に取得するために四量体TTRおよび単量体TTRを用いた2段階スクリーニングによるバイオパニング法を構築した。本アッセイ法を用いて直鎖状または環状ランダムペプチドライブラリーのスクリーニングを行ったところ、環状ペプチドにおいてのみ出現頻度の高いファージクローンが同定された。ペプチドのアミノ酸配列を決定し、特に出現頻度の高かった3種類のペプチドについてTTRへの結合を評価した。その結果、これらペプチド添加により四量体および単量体TTRの構造状態が変化することが明らかになった。さらに、これらペプチドはTTRのアンフォールド状態に結合し、TTRの四量体構造を不安定化することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ペプチド選別に適したバイオパニング法を構築し、複数のTTR結合ペプチドを同定できたため
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Strategy for Future Research Activity |
(1)TTRとペプチドの相互作用に関する情報を得るために、核磁気共鳴法や等温滴定型熱量測定を用いてペプチドのTTR結合部位および相互作用様式を決定する。 (2)培養細胞の評価系を用いて、同定したペプチドが変異型TTRの分泌を抑制するか調べる。
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Causes of Carryover |
本年度の繰越額は微小であり次年度の使用計画に充当する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は核磁気共鳴測定や培養細胞を用いたウエスタンブロット法・ELISA法を用いた評価系のため、研究費の大部分は同位体標識試薬の購入や細胞培養関連の消耗品類・TTR ELISA kitの購入に充てる予定である.
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