2017 Fiscal Year Annual Research Report
The role of spinal dorsal horn astrocytes in sensory information processing
Project/Area Number |
16K18885
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高露 雄太 九州大学, 薬学研究院, 助教 (30723861)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 感覚情報伝達 / 脊髄後角 / アストロサイト / 亜集団 / 痛み |
Outline of Annual Research Achievements |
グリア細胞の一種であるアストロサイトは慢性的な痛みや痒みへ重要な役割を果たすことが報告されているが、アストロサイトの機能変化自体が感覚認知にどの程度影響を及ぼし得るのかは未だ不明な点が多い。前年度までの検討により、Gq-DREADDを用いて脊髄アストロサイトを選択的に刺激することにより、機械刺激に対する過敏応答を示すことが明らかとなった。そこで当該年度はGq-DREADD刺激誘発の過敏応答のメカニズム解明および脊髄後角アストロサイト亜集団の役割解明を目的として以下3項目について検討を行った。(項目1)アストロサイト細胞内Ca2+濃度増加に重要であるIP3R2のノックアウトマウスを用いて検討を行ったところ、Gq-DREADD誘発の機械刺激に対する過敏応答が有意に抑制された。またこの過敏応答は、NMDA受容体阻害剤により抑制されたが、AMPAやP2受容体の阻害剤では影響がなかった。上記結果よりNMDA受容体の機能を変調させる因子としてD-セリンに着目し、NMDA受容体のグリシン結合部位の阻害剤を前処置した所、同様に過敏応答が抑制された。(項目2)Gq-DREADDによる脊髄アストロサイト刺激条件下においてAβ線維選択的に電気刺激を行うことにより脊髄後角Ⅰ/Ⅱ層でのc-Fos陽性ニューロン数が増加した。またc-Fos陽性ニューロン数の増加はIP3R2ノックアウトマウスでは観察されなかった。(項目3)脊髄後角表層アストロサイト特異的にGq-DREADD刺激を行うと機械刺激に対する過敏応答が観察されたのに対し、脊髄後角深層アストロサイトを特異的に刺激した際には影響が見られなかった。以上の結果から、脊髄後角表層アストロサイトがD-セリン/NMDA受容体シグナルを介して体性感覚情報プロセシングに大きな影響力を有する可能性が示唆された。
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