2019 Fiscal Year Annual Research Report
The treatment of steroid-induced depression
Project/Area Number |
16K18888
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
寺田 一樹 福岡大学, 薬学部, 助教 (00724197)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 神経成長因子 / Sigma-1受容体 / Sigma-2受容体 / ステロイド / うつ病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度では、in vitroおよびin vivo下においてステロイド剤が与える分子生物学的な変化を詳細に探索した。また、これらの影響に対する改善作用を有する薬剤の探索を行なった。 1. In vitro: 神経を維持・成長させる上で重要な働きを有する神経成長因子 (NGF) は、うつ病患者の脳内で減少がみられ神経細胞の生存維持に影響を与えていることが報告されている。本研究では、神経様細胞であるPC12細胞に対し、NGFとステロイド剤の添加による変化を探索した。その結果、神経成長因子によるPC12細胞の神経突起伸展は、ステロイド剤の併用によって有意に抑制された。一方で、抗うつ薬の選択的再取り込み阻害薬 (SSRI) に分類されるフルボキサミンは、ステロイド剤による神経突起伸展の抑制作用を改善した。一方で、同じSSRIのパロキセチンおよびセルトラリンは改善作用を有しなかった。この結果は、SSRIによるセロトニンの再取り込み阻害作用に起因するものではないことが示唆され、さらに探索を行なったところ、フルボキサミンによる改善作用はsigma-1受容体を介したものであることが明らかとなり、sigma-1受容体が有効な改善機構であることを見出した。加えて、本研究では、sigma受容体のもうひとつのサブタイプであるsigma-2受容体にも同様の神経突起の伸展を増強する作用を有していることを世界に先駆けて報告した。
2.In vivo: ステロイド剤の投与がマウスの行動へ与える影響について探索を行なった。その結果、慢性的なステロイド剤の投与によって強制水泳試験の無動時間が延長し、また、SSRIによる改善が確認された。マウスの脳内において、海馬・歯状回でステロイド剤投与によるNGFの有意な減少がみられ、フルボキサミンの併用による改善が観察された。以上の結果を、本年度、学会にて発表を行なった。
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Research Products
(5 results)