2018 Fiscal Year Annual Research Report
Exploration of novel anti-edema drugs by regulation of astroglial functions
Project/Area Number |
16K18890
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Research Institution | Osaka Ohtani University |
Principal Investigator |
道永 昌太郎 大阪大谷大学, 薬学部, 助教 (60624054)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アストログリア / 頭部外傷 / エンドセリン / 血液脳関門 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、アストログリアを標的とした新規脳浮腫治療薬の探索を目的として、アストログリアに多く分布していることが確認されているエンドセリンのETB受容に注目した。平成28年度および29年度の研究成果より、ETB受容体拮抗薬であるBQ788をマウスの側脳室内へ投与すると、頭部外傷マウスにおけるアストログリアの過剰な活性化が抑制され、Blood-brain barrier(BBB)の破綻および脳浮腫が抑制されることが確認された。また、これらの抑制作用には血管透過性亢進因子の減少および血管修復因子の増加が関わることも見出した。 平成30年度の研究ではまず、BQ788の臨床応用を想定して静脈内投与による効果および副作用の確認を行った。頭部外傷の2日後からBQ788をマウスの尾静脈内へ投与したところ、頭部外傷5日後のBBBの破綻と脳浮腫が抑制されており、BQ788は静脈内投与をした場合でも抑制効果を示すことが確認された。また、BQ788の副作用として血圧に対する効果を確認したところ、健常マウスおよび頭部外傷マウスの血圧に対して、BQ788は大きな影響を及ぼさなかった。さらに、アストログリアに対するBQ788の効果を確認するために、マウスより作製した培養アストログリアを用いたin vitroの研究を行った。エンドセリン処置により、培養アストログリアにおける血管透過性亢進因子の増加および血管修復因子の減少が認められたが、BQ788を前処置した場合では、これらの変化が抑制されていた。その一方で、脳血管内皮細胞であるbEnd.3細胞で確認した場合では、BQ788の効果は認められず、BQ788はアストログリア選択的に作用することで効果を発揮することが示された。本課題の研究成果により、アストログリアを標的とするETB受容体拮抗薬が脳浮腫に対する新たな治療薬として発展することが期待される。
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