2016 Fiscal Year Research-status Report
血管新生阻害剤としてL-carbocisteineを臨床応用するための基盤研究
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16K18893
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
新屋 智寛 武庫川女子大学, 薬学部, 助手 (60551299)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 血管新生 / L-carbocisteine |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、血管新生は癌の増悪のみならず、加齢黄斑変性や糖尿病性網膜症、リウマチとの関連が報告され、血管新生阻害剤の開発が活発化している。現在、臨床現場ではbevacizumab (アバスチン)やramucirumab (サイラムザ)といった血管新生阻害剤による治療が行われているが、これらは静脈投与で効果を示す抗体製剤であり、患者の肉体的負担・医療費負担が問題となる。 我々はin vivo実験の結果、去痰薬であるL-carbocisteineが副作用等の有害事象を発現することなく腫瘍血管新生抑制効果を示すことを明らかとしている。また、ヒト臍帯静脈内皮細胞 (HUVECs)を用いたin vitro実験の結果、L-carbocisteineは血管内皮細胞において、血管内皮増殖因 (VEGF)受容体とPLCgの複合体形成を抑制し、血管内皮細胞の増殖・遊走・管腔形成を抑制することを明らかとしている。 本年度は採択課題における検討箇所であるL-carbocisteineとcisplatin、5-FUの腫瘍増殖抑制の相乗効果の検討を行った。文献を参考に、cisplatinを隔日3 mg/kg、5-FUを5 mg/kgでそれぞれ腹腔内投与した。cisplatinは単独での効果が強く、L-carbocisteineによる相乗効果は認められなかったが、5-FU単独群と比較し、L-carbocisteine併用群では相乗的腫瘍増殖抑制効果が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
動物実験申請の関係で当初の予定を変更し、先にL-carbocisteineと5-FU、cisplatinの併用による腫瘍増殖抑制効果の検討をin vivoで行った。colon-26細胞をBALC/cマウスの背面皮内に埋め込み、腫瘍モデルマウスを作製し抗腫瘍効果の検討を行った結果、cisplatinは単独での効果が強く、L-carbocisteineによる相乗効果は認められなかったが、5-FU単独群と比較し、L-carbocisteine併用群では相乗的腫瘍増殖抑制効果が見られた。
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Strategy for Future Research Activity |
酸素誘導網膜症(OIR)モデルでの検討に着手し、予備検討を開始している。今後は、OIRモデルでの検討および、腫瘍モデルマウスでのL-carbocisteineの併用効果の検討を進めることで、in vivoでのL-carbocisteineによる血管新生抑制療法の有用性検証を実施する。
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Causes of Carryover |
動物実験において、腫瘍モデルマウス、酸素誘導網膜症モデルの実施順に変更が生じたために次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験動物の購入に使用する。
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