2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K18894
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
安藤 広和 金沢大学, 薬学系, 助教 (00768731)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | マオウ / 栽培 / 育種 / エフェドリン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題はマオウ属植物の新品種の育成及び品質評価を目的としている.研究計画に従って,まずは新品種の育成に取り組んだ.優良品種選抜ではこれまでに栽培してきた10,000株の中から一次選抜として形態,収穫量,増殖性を評価し,更に二次選抜としてエフェドリン系アルカロイド含量を評価した.交雑法ではE. sinicaを雌株に使用し,雄株は収穫量及びアルカロイド含量の増加を目標にE. likiangensis,アルカロイドを含まないマオウを作製するためE. chilensisを用いた.その結果,E. likiangensisでは8個体,E. chilensis では7個体の株が得られた.これらの個体からDNAを抽出し,解析する事によって交配の事実を証明した.次に,これらの株のエフェドリン系アルカロイド含量を分析すると,E. sinica×E. likiangensisでは6個体の平均総アルカロイド含量が0.31%であった.また,E. sinica×E. chilensisでは7個体全てでエフェドリン系アルカロイドは検出されなかった.最終的な評価は次年度に行う予定であるが,現段階ではアルカロイドを含まないマオウの作製に成功したと考えられる. 品質評価法の検討では,ユナニー医学,モンゴル医学,ウイグル医学などで古くから使用され,エフェドリン系アルカロイドを含有しない種であるE. przewalskiiを用いて検討した.まず,E. przewalskiiのエフェドリン系アルカロイドを分析し,検出されない事を確認した.次に総タンニン含量をFolin-Ciocalteu法によって分析した結果,14.7%であった.同様にE. sinicaの総アルカロイド含量を分析すると8.3%であり,E. przewalskiiは多量のタンニンを含有している事が明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
品質評価法の検討では若干の遅れがあるものの,新品種の育成ではE. sinicaとの雑種であるE. sinica×E. likiangensisとE. sinica×E. chilensisの2系統を作製し,現時点での評価としてアルカロイドを含まないマオウの作製に成功した.また,優良品種選抜も順調に進んでいる事から概ね順調であると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
1年目に選抜,作製した個体の特性が継続的なものであるかを評価し,他のマオウ属植物との比較によって品種の優位性を明らかにする.また,前年度からの継続課題でもある品質評価法に関してはメタボローム解析などを実施する.
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