2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K18896
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山野 喜 広島大学, 医歯薬保健学研究科(薬), 助教 (70650597)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 難培養性微生物 / 生物活性物質 / 構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
微生物の培養抽出物からは、薬として利用されてきた化合物が多数発見されてきており、微生物は薬の候補となる化合物の重要な探索源として認識されてきた。 しかし近年、これまで培養し利用されてきた微生物は、実際に存在している微生物の1%程度でしかなく、残りの99%は一般的な研究室内での培養条件下では培養が難しいことから、利用できずにいたことが明らかとなってきた。この99%の難培養性微生物を特殊な培養器具を用いて自然環境下で培養することにより、薬の探索源として利用することが本研究の目的である。難培養性微生物は、薬の候補化合物の探索源として大きな可能性を有しているだけでなく、新たな機能をもつ微生物の発見などにもつながる重要な天然資源である。 研究開始から二年目となる本年度は、初年度に分離培養した微生物の培養抽出物をスクリーニングサンプル化し、その抗腫瘍活性、抗リーシュマニア活性、抗菌活性、各種酵素阻害活性等の活性評価を行った。続いて、各種活性試験で強力な活性を示した微生物培養抽出物から活性物質の精製を行い、本年度末までの成果として、強力な抗腫瘍活性を有するCompound 1の単離構造解析に成功した。 来年度も引き続き、これら難培養性微生物から薬の候補化合物を探索する。また、単離された強力な活性を有する化合物の作用メカニズムの解析を行う研究にも着手する予定である。これらの研究を通して、難培養性微生物の有用性を具体的に検証していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた通り、培養器具の作成とそれを用いた微生物の培養、資源化に成功し、続く微生物代謝物の活性評価、活性物質の精製・単離・構造解析にも一通り成功しているためこれまでに一定の成果は得られている。 これらの研究経過は昨年度まで当初計画以上に順調に進展していたが、本年度は培養器具に不具合が生じ、その解決のために長期間を要したことと、扱う微生物が特殊なためか増殖速度が遅く、十分な量の代謝物が得られにくい状況にあったことなどから、本年度末時点では当初の計画とほぼ同等の進展速度となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通りに難培養性微生物の培養を達成し、それらの培養抽出物のスクリーニングサンプル化、活性評価、化合物の単離構造解析に成功している。今後は、当初の計画通り生物活性物質の探索を続けるとともに、単離された化合物の作用メカニズム解析を進める予定である。
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