2016 Fiscal Year Research-status Report
多様性を持つシソ属植物精油成分の生合成経路および制御機構の解明
Project/Area Number |
16K18902
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
藤原 裕未 金城学院大学, 薬学部, 助教 (90756511)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | シソ属植物 / 精油成分 / シトクロムP450 / ペリルアルデヒド / クローニング / 機能的発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
シソ属植物は、アジア原産の一年生草本で、十数種類に分類されるさまざまな精油型を持つが、日本ではペリルアルデヒドを豊富に含む精油型が最も有名である。精油型は遺伝的に制御されていることが明らかとなっており、生合成を担う酵素としてリモネン、リナロール、ゲラニオール合成酵素などが既にクローニングされている。本研究では、生合成経路の各ステップのうち、水酸化やフラン環形成反応を担っていると予測されるシトクロムP450を中心にクローニングと機能解析を行い、ペリルアルデヒドの生合成に関与するシトクロムP450(CYP71AT146)を得た。ペリルアルデヒド型のシソに特異的に発現していたCYP71AT146はリモネンを基質とし、ペリルアルコール、ペリルアルデヒドを生成する一連の生合成反応を触媒した。リモネンを基質としペリルアルコールを生成するシトクロムP450(perilla (-)-limonene-7-hydroxylase)は既に同定されていたが、この酵素とCYP71AT146のアミノ酸配列相同性は37%であり、異なるシトクロムP450であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究ではシソ属植物の精油成分生合成経路についてシトクロムP450をターゲットにし、明らかにすることが目的である。本年度の研究では、EST(expressed sequence tag)ライブラリーから精油成分生合成関連酵素の探索を行い、ペリルアルデヒド型に特異的に発現しているシトクロムP450のクローニングと機能発現を行った。タンパク質発現量が少なく、用いたCPR(cytochrome p450 reductase)の影響により結果の解釈が困難ではあったものの、酵母を用いた発現系を用いてin vitro酵素反応を行えたため、研究はおおむね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
シソ属植物由来のESTライブラリーを探索し、シトクロムP450をターゲットとした精油成分生合成関連遺伝子のさらなる探索を行う。とくに前年度の問題点であった不十分な発現量、CPRの影響を考慮して、大腸菌発現系を用いた機能解析を行う。
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Causes of Carryover |
酵母を用いた機能的発現は、問題点が生じたものの、比較的順調に進行したため、大腸菌を用いた機能的発現は行わなかった。そのため、当初計画していた消耗品の購入費用が抑えられた。しかしながら、酵母発現系ではいくつかの問題も生じているために、次年度に大腸菌を用いた機能的発現を試みる予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
既に作製しているESTライブラリーの作製に用いた系統とは別の系統を用いて、新たにESTライブラリーを作製する予定である。また、本年度に引き続き、遺伝子関連試薬、機能解析にかかる消耗品等の購入に加えて、研究成果報告のための国際学会参加旅費に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)