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2017 Fiscal Year Research-status Report

がん選択的化学療法の実現を目指した細胞内滞留型プロドラッグの開発

Research Project

Project/Area Number 16K18909
Research InstitutionYamaguchi University

Principal Investigator

堂浦 智裕  山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (00745226)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2019-03-31
Keywordsナノ粒子 / ナノ材料 / 電子顕微鏡 / 界面活性剤 / EPR効果 / ナノメディシン / 有機シリカナノ粒子
Outline of Annual Research Achievements

平成29年度は、ナノ医学(ナノメディシン)への応用が期待されるチオール有機シリカナノ粒子の新規合成法の開発研究に取り組み、がん組織へのナノ材料の集積に利用されるEPR効果を示すサイズのチオール有機シリカナノ粒子の効率的合成法の開発に成功した。チオール有機シリカナノ粒子は高濃度アンモニア水中でのゾル-ゲル法により合成するが、その推定反応機構に基づき、界面活性剤がナノ粒子のサイズに影響を与え得ると考え、種々の界面活性剤を検討した結果、アニオン性界面活性剤がチオール有機シリカナノ粒子を小型化することを見出し、この効果を利用したEPR効果を示すサイズのチオール有機シリカナノ粒子の効率的合成法を確立した。この成果は、チオール有機シリカナノ粒子を用いた腫瘍を標的とするナノメディシンを開拓するための基盤技術であり、チオール有機シリカナノ粒子を利用するナノメディシンのさらなる発展に貢献することが期待される。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

卵巣がんに対する効果的かつ副作用の少ない化学療法の開発を目指し、昨年度までは卵巣がん細胞での活性亢進が報告されていたbeta-ガラクトシダーゼによる代謝を利用するチューブリン重合阻害剤のプロドラッグの開発を行ってきた。しかしながら、beta-ガラクトシダーゼ活性を利用したプロドラッグの卵巣がん細胞選択性は十分とはいえず、がん細胞選択的な化学療法の実現には酵素活性に依らない別のアプローチが必要であると考えた。平成28年10月に着任した山口大学医学部器官解剖学分野ではチオール有機シリカナノ粒子を基盤としたナノ医学(ナノメディシン)を展開していたため、がん細胞選択的な薬物送達材料となるチオール有機シリカナノ粒子の開発研究に着手した。サイズが10-200 nmほどのナノ材料は生体内において腫瘍部位に集積しやすいことが知られている(EPR効果)が、従来の合成法ではこのサイズのチオール有機シリカナノ粒子を効率的に合成することはできなかった。私は推定される合成反応の機構から、界面活性剤はナノ粒子のサイズに影響を与え得ると考え、種々の界面活性剤を検討した結果、アニオン性界面活性剤がチオール有機シリカナノ粒子を小型化することを見出し、この効果を利用したEPR効果を示すサイズのチオール有機シリカナノ粒子の効率的合成法を確立した。

Strategy for Future Research Activity

現在はチオール有機シリカナノ粒子の製剤化を目指し、細胞内環境における分解性の付与について検討している。細胞内には抗酸化作用をもつグルタチオンが高濃度に存在しており、がん細胞では特に高濃度に存在することが知られている。グルタチオンはチオール基をもつため、ジスルフィド結合をもつ分子とチオール交換反応を起こし、分子のジスルフィド結合を開裂することが知られている。種々の検討の結果、3-メルカプトプロピル(ジメトキシ)メチルシラン(MPDMS)を加えることによりチオール有機シリカナノ粒子内にジスルフィド結合を形成できることを見出し、この知見に基づいたジスルフィド結合を有するチオール有機シリカナノ粒子の合成と構造解析、製剤化への応用研究を精力的に推進している。

Causes of Carryover

平成29年度の研究では高額の試薬等をほとんど使用せずに上記の研究成果を得ることができたため、当初の予想よりも少ない使用額となった。一方、平成30年度に遂行するグルタチオンとの反応により分解性を示すチオール有機シリカナノ粒子の開発研究では、細胞への応用研究を視野に入れているため、細胞実験に必要な諸費用が必要であり、昨年度よりも多くの研究費を必要としている。研究費はMPDMSをはじめとする試薬や物品の購入費や、ナノ粒子の構造解析に使用する機器の使用料や維持費等に使用する予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2018 2017

All Journal Article (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] Miniaturization of thiol-organosilica nanoparticles induced by an anionic surfactant2018

    • Author(s)
      Tomohiro Doura, Fuyuhiko Tamanoi, Michihiro Nakamura
    • Journal Title

      Journal of Colloid and Interface Science

      Volume: 526 Pages: 51-62

    • DOI

      10.1016/j.jcis.2018.04.090

    • Peer Reviewed / Int'l Joint Research
  • [Presentation] 卵巣がん化学療法を指向したコンブレタスタチンA4プロドラッグの開発2017

    • Author(s)
      堂浦 智裕、高橋 一聡、小椋 康光、鈴木 紀行
    • Organizer
      日本ケミカルバイオロジー学会第12回年会
  • [Presentation] チオール有機シリカナノ粒子の新規サイズ制御合成法の開発と蛍光性ナノ粒子合成への応用2017

    • Author(s)
      堂浦 智裕、安藤 英紀、中村 教泰
    • Organizer
      第11回バイオ関連化学シンポジウム

URL: 

Published: 2018-12-17  

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