2016 Fiscal Year Research-status Report
銅(II)イオン検出のためのシグナル増幅系11B NMR/MRIプローブの創製
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16K18915
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Research Institution | The Noguchi Institute |
Principal Investigator |
田中 智博 公益財団法人野口研究所, 研究部, 研究員 (20711667)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 薬学 / 銅イオン検出 / ホウ素クラスター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、o-カルボランが銅イオン存在下において水溶液中で分解反応を引き起こすことを利用した銅イオンの11B NMR検出プローブの開発に向けて、より迅速な検出を可能にするべく、化学的に修飾したカルボラン誘導体を合成し、その反応性の向上を目的としている。 上記の目的に対する新たなアプローチの一つとして、昨年度はo-カルボラン誘導体の炭素上の置換基が銅イオンによる分解反応速度に与える影響を精査した。具体的には、o-カルボランの炭素上に導入する置換基として、電子供与基である水酸基及び銅イオンと錯体形成可能なジアミン型配位子を選択し、それらを個別に導入した化合物を設計、合成し、その分解反応性を評価した。 炭素上に水酸基を導入したo-カルボランのnido体を合成し、その反応性を評価したところ、置換基のない誘導体よりも早く分解することが示唆された。これは、o-カルボランへの水酸基の導入が共鳴効果を介して、炭素原子上のπ電子密度を上昇し、銅イオンとの反応性を向上したためと考えられた。 更に、炭素上にジアミン配位子を導入した誘導体の銅イオンとの反応性を評価したところ、予想通りの反応速度の向上がみられた。これは、水溶液中の銅イオンを補足することにより、分子内酸化反応が進行するためであると考えられた。 今後は、これらの知見を踏まえ、より迅速な検出が可能な銅イオン検出のための11B NMRプローブを設計する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画にて目的としたカルボラン誘導体の構造とは少し異なるものの、炭素上に電子供与基(OH基)やジアミン型配位子を導入したカルボラン誘導体を合成に成功した。また、反応性を評価したところ、これらの化学修飾が反応速度の向上に寄与することが示唆された。このため、現在のところおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は昨年度に得られたカルボランの置換基導入の効果に関する検討結果を踏まえて、より迅速に分解されるプローブを設計、合成していく。また、合成した化合物のの細胞内の取り込み量についても評価する予定である。
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Causes of Carryover |
いくつかの試薬(特にホウ素化合物)について購入先を精査したところ、海外メーカーからより安価な値段で入手できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
持ち越した使用額で、昨年度に得られた化合物の化学・生物評価用の試薬の購入を予定している。
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Research Products
(4 results)