2016 Fiscal Year Research-status Report
IgE産生B細胞標的ペプチドによる花粉症治療法の開発
Project/Area Number |
16K18917
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
野中 元裕 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 創薬基盤研究部門, 招聘研究員 (70514173)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 花粉症 / アレルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
花粉症はここ20年で急増し、現在では日本人の4人に1人(3,000万人)が悩まされる国民病である。花粉症にみられるアレルギー症状は明らかにIgEが引き金となって誘発されており、IgE産生を抑制する様々な研究が行われている。中でも、減感作療法(抗原特異的免疫療法)は、IgE産生に関わる免疫システムを制御することができる有望な戦略と考えられている。この減感作療法はスギ花粉症患者に対して一定の効果を示しており、舌下投与による減感作療法が保険適用となっている。 本研究ではまず、IgEに結合するペプチドの特徴を調べるために、IgEを産生するヒト骨髄腫細胞株U266を用いて、IgEに結合するペプチドをファージディスプレイ法によりスクリーニングした。その結果、26種類のペプチドを取得し、配列の中から複数の相同性を見出すことができた。 次に、アレルギー性鼻炎マウスモデルを作製した。6週齢のBALB/c雌マウスにオボアルブミン(OVA)を1、8、15日目に皮下投与し感作させた。次に同アレルゲンを連日(22~28日)点鼻投与しアレルギー性鼻炎を発症させた。マウス血清に含まれているIgEをELISAによって測定し、OVA特異的なIgEが正常マウスに比べて優位に上昇したことを確認した。Mineらの報告(Biochimica et Biophysica Acta 1774: 200-212, 2007)では、エピトープマッピングによりOVA感作マウス由来のIgEエピトープ配列が同定されているが、そのうちK277L282配列が我々のモデルマウスのIgEに最も高い親和性を示した一方で、K55D60配列は結合しないことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒト骨髄腫細胞株U266由来のIgEに結合するペプチドのスクリーニングに当初の予定よりも時間がかかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
同定したペプチドとIgEとの親和性を比較する。これまではELISA法を用いていたが、今後は水晶振動子マイクロバランス法(QCM)を用いることで迅速化を図る。アレルギー性鼻炎モデルマウスにペプチドを投与し、アレルギー症状に与える影響を調べる。
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Causes of Carryover |
IgEに結合するペプチドのスクリーニングに時間を要したため、ペプチドの効果を確かめる実験を行うことができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
マウスの購入とアレルギー鼻炎モデルの作製に前年度の相当額を使用する。今年度は前年度に計画したマウスでの実験とともに、患者由来の血液サンプルを用いた実験も行う。
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Research Products
(3 results)