2016 Fiscal Year Research-status Report
新規自己免疫疾患治療としての機能性人工タンパク質の創製とその最適化
Project/Area Number |
16K18918
|
Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
井上 雅己 神戸学院大学, 薬学部, 助手 (80757097)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 機能性人工タンパク質 / 自己免疫疾患 / アンタゴニスト / 蛋白質工学 / 最適化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、難治性自己免疫疾患の新たな治療薬の開発を目指し、我々がこれまでに開発したTNFR1指向性アンタゴニスト(T2)を高機能化するため、アンタゴニスト活性及び体内安定性をさらに高めた新規T2改変体の創製を行うものである。 本年度はまず、アンタゴニスト活性が増強したT2改変体を同定するため、T2で変異させた領域は温存し、T2とは異なるTNFR1接触面である30番台及び140番台の9箇所のアミノ酸を網羅的に変異させた新規ファージT2改変体ライブラリー(約5千万種類の多様性)を構築した。次に、このライブラリを用いて、T2を競合させた条件下でアフィニティセレクションを行い、TNFR1に対してT2と同等、もしくはそれ以上の親和性をもつファージクローンを一挙に濃縮した。このTNFR1結合性クローン集団の中からランダムに選択したモノクローンのアミノ酸配列を調べた結果、すべてT2と同じ配列であることが判明した。したがって、30番台及び140番台のアミノ酸は、TNFR1選択性において既に最適化されていることが確認された。また、体内安定性を向上させるための構造安定化技術として、T2の3つの単量体をペプチドリンカーで連結し、一本のアミノ酸鎖として発現させた一本鎖T2の作製を試みた。タンパク質発現系については、CHO細胞とHEK293細胞の2種類の哺乳類細胞を用いて発現量の比較を行い、HEK293細胞系を選択した。また、リンカー配列の最適化のため、3種類のGSリンカー配列による連結を試みた。その結果、いずれのリンカーを用いた場合でも、タンパク質発現量に差はなく、目的の分子量として問題なく発現することを確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規ファージライブラリーの構築、及び一本鎖化構造安定化技術の検討について、当初の計画通りに進めることができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
作製した一本鎖TNF変異体を用いて、レセプター結合性やアゴニスト・アンタゴニスト活性、熱安定性などの機能解析を行い、従来型T2との違いを詳しく調べる。また、体内安定性をさらに高めるため、ポリエチレングリコール(PEG)による分子修飾について検討し、構造の最適化を図る。これらの知見から、最適なTNF変異体構造を決定し、疾患モデルマウスを用いた薬理評価を行うことで、免疫疾患治療薬としての有用性を検証していく。
|
Causes of Carryover |
平成28年度途中に所属機関を変更することになり、当初予定していた学会への参加を中止したため、旅費に繰り越しが生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度の研究計画を推進するために使用する。
|
Research Products
(2 results)