2017 Fiscal Year Annual Research Report
A trimeric structural fusion of an antagonistic tumor necrosis factor-alpha mutant enhances molecular stability
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16K18918
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
井上 雅己 神戸学院大学, 薬学部, 助手 (80757097)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 腫瘍壊死因子 / TNF / アンタゴニスト / TNFR1 / 自己免疫疾患 / 一本鎖化 / 構造最適化 / 蛋白質工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、難治性自己免疫疾患の新たな治療薬の開発を目指し、病態悪化の主要因である腫瘍壊死因子(TNF)の作用のうち、TNFR1を介した反応を特異的に阻害できるTNFR1選択的アンタゴニスト(T2)の高機能化を行うものである。T2は、抗体医薬と同等のTNF阻害作用を示すが、血中半減期が短い点が課題であった。平成29年度は、まず前年度に創製した一本鎖T2(scT2)の特性解析を行った。ペプチドリンカー長の異なる3種類のscT2(scT2-L1, L2, L3)を用いて、SPR法による各TNF受容体サブタイプへの結合親和性評価、LM細胞による生物活性評価、DSCによる熱安定性評価を実施した。その結果、いずれのscT2もTNFR1選択的な結合能及びアンタゴニスト活性は維持したまま、熱安定性が大きく向上したことが確認できた。分子モデリング解析から、一本鎖化のペプチドリンカーは、T2のTNFR1相互作用領域と離れたところに位置するため、受容体との結合性には影響することなく、一本鎖構造により単量体間の解離が抑制されたためと考えられた。また、生体内におけるscT2の血中半減期延長を目的にポリエチレングリコール(PEG)修飾について検討した。scT2は、一本鎖化により分子内のアミノ基がN末端だけとなり、効率的な分子修飾が可能となった。そこで、熱安定性が最も高かったscT2-L2を用いて、分岐型40kDa PEGを修飾した40-kDa PEG-scT2を作製した。LM細胞によるバイオアッセイ及びマウスに投与した際の血中動態を解析した結果、PEG修飾によるアンタゴニスト活性の低下はみられず、未修飾体に比べて血中半減期が延長した。以上、一本鎖化及びPEG修飾によるT2の構造最適化は、薬理効果に影響することなく、TNFR1アンタゴニストを高機能化でき、治療応用に有用であることが示された。
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Research Products
(9 results)