2016 Fiscal Year Research-status Report
活性イオウ分子による環境中親電子物質の新奇解毒機構
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16K18920
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鵜木 隆光 筑波大学, 医学医療系, 特任助教 (00742868)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 環境中親電子物質 / 活性イオウ分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、高い親電子性を有するゆえ生体内に侵入した際にはタンパク質のチオール基に容易に共有結合し(親電子修飾)、その機能および細胞内シグナルを破綻させることで健康影響が懸念される環境中親電子物質のリスク評価と、高い求核性を有した活性イオウ分子によるその不活化という新奇生体防御機構の立証を目指している。我々の身近に存在する8つの環境中親電子物質メチル水銀、カドミウム、鉛、アクリルアミド、クロトンアルデヒド、1,2-ナフトキノン(1,2-NQ)、1,4-ナフトキノン(1,4-NQ)および1,4-ベンゾキノンをマウス由来初代培養肝細胞に曝露し、MTT法により細胞生存率を解析することで各環境中親電子物質の濃度依存的な毒性発現を解析し、その有害性の閾値を網羅的に明らかとした。そこで、活性イオウ分子が環境中親電子物質を捕獲して不活性化(無毒化)するかを検証した。活性イオウ分子のうちポリスルフィドのモデル化合物であるNa2S4を初代培養肝細胞の培養液中へ添加したところ、1,2-NQ、1,4-NQ、カドミウム、鉛の曝露により誘導される細胞死が顕著に阻害された。また1,2-NQまたは1,4-NQを初代培養肝細胞へ曝露し、タンパク質の親電子修飾量を抗1,2-NQおよび抗1,4-NQ抗体を用いたウェスタンブロッティングにより確認したところ、Na2S4添加によって内在タンパク質の親電子修飾量が著しく減少していた。このことから外来的に添加した活性イオウ分子により環境中親電子物質の毒性が軽減されることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は高い求核性を有する活性イオウ分子が環境中親電子物質の不活化し毒性を軽減するとの仮説に基づく。本年度はマウス初代培養肝細胞へのポリスルフィドモデル化合物投与系においてこの仮説を立証できたことから、順調に進捗したと評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
環境中親電子物質として1,4-ナフトキノン(1,4-NQ)を用い、活性イオウ分子との反応により生じるイオウ付加体を同定する。また、1,4-NQにマウス初代培養肝細胞を曝露した際の細胞内シグナル伝達系の変動が、活性イオウ分子によりどのように調整を受けるか解析する。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] 1,4-Naphthoquinone activates the HSP90/HSF1 pathway through the S-arylation of HSP90 in A431 cells: Negative regulation of the redox signal transduction pathway by persulfides/polysulfides2017
Author(s)
Abiko Y, Sha L, Shinkai Y, Unoki T, Luong NC, Tsuchiya Y, Watanabe Y, Hirose R, Akaike T, Kumagai Y
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Journal Title
Free Radical Biology & Medicine
Volume: 104
Pages: 118-128
DOI
Peer Reviewed
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