2016 Fiscal Year Research-status Report
新規経口抗凝固薬の血中薬物濃度を指標とした個別投与設計法の構築
Project/Area Number |
16K18930
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
土岐 浩介 筑波大学, 医学医療系, 講師 (90620881)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 新規経口抗凝固薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
新規経口抗凝固薬は、治験データに基づき血液凝固能検査が不要として市販されたが、大出血による死亡例の発生により安全性への懸念が高まり、安全性・有効性の指標としての血中薬物濃度の活用が模索されている。そこで、本研究では実臨床における患者背景を踏まえた上で新規経口抗凝固薬の血中薬物濃度を指標とした個別投与設計法を構築することを目的とした。 実臨床における使用実態を明らかにするために、新規経口抗凝固薬を服用している患者の患者背景や有効性、出血などの有害事象の発現を後方視的に調査した。その結果、腎機能低下またはP-糖蛋白阻害薬の併用のどちらかに当てはまる患者では一段階減量することが添付文書において推奨されているが、両因子をどちらも保有する患者では凝固能が低下して出血等の有害事象の発現が多い傾向がみられ、このような患者ではさらなる減量を考慮する必要があると推察された。 心房細動に適応を有する新規経口抗凝固薬は、P-糖蛋白阻害薬である抗不整脈薬のアミオダロンやベラパミルを併用する機会が多いため、P-糖蛋白阻害薬併用の影響を定量的に把握する必要がある。そこで、新規経口抗凝固薬の生理学的薬物速度論(PBPK)モデルを用いた解析を開始し、モデルを構築するために必要となる化合物の物理学的、生化学的特性情報などについて論文情報を収集して化合物の基礎ファイルを作成した。新規経口抗凝固薬のPBPKモデルが確立されれば、患者背景を考慮した上で血中薬物濃度をシミュレートすることができ、個別投与設計法の構築が可能となると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実臨床における使用実態調査は順調に進捗している。新規経口抗凝固薬の血中薬物濃度の評価については、実患者の血中濃度を測定していないが、生理学的薬物速度論モデルを構築することにより個別投与設計法の構築が進捗すると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
新規経口抗凝固薬の血中薬物濃度を指標とした個別投与設計法を構築するためには、実臨床における患者背景を把握することが重要であるため、今後も実臨床における使用実態調査を継続する。新規経口抗凝固薬の生理学的薬物速度論(PBPK)モデルを用いた解析を発展させることにより、実臨床における幅広い患者背景に対応した個別投与設計法を構築することが可能となると考える。
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Causes of Carryover |
研究成果発表のために必要な統計解析ソフトを購入するためには、助成金の残額が不足していたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度の助成金と合わせて、統計解析ソフトを購入する予定である。
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