2016 Fiscal Year Research-status Report
新規抗てんかん薬の妊娠期間を考慮した適切な投与設計のための情報基盤構築
Project/Area Number |
16K18931
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
藤吉 正哉 千葉大学, 大学院薬学研究院, 助教 (50751921)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 抗てんかん薬 / ラモトリギン / レベチラセタム / 個別化医療 / TDM |
Outline of Annual Research Achievements |
新規抗てんかん薬であるラモトリギンおよびレベチラセタムのクリアランスは妊娠中に上昇し、妊娠経過に伴うけいれん発作抑制効果の減弱に関与する可能性が示されている。本研究では、妊娠によるクリアランス上昇を考慮した投与設計を行う基盤を構築することを目的とする。まず、高速液体クロマトグラフィー質量分析装置 (LC-MS) を用い、これらの抗てんかん薬および代謝物の測定法を確立した。全化合物について良好なピーク形状および感度を確認し、臨床使用濃度域で良好な直線性が得られた。また、日内および日間変動は10%未満であり、臨床応用可能な真度および精度を示した。 ラモトリギンはグルクロン酸転移酵素 (UGT)1A4によって不活性代謝物ラモトリギン2-Nグルクロニドに代謝され、尿中に排泄される。妊娠によってUGT1A4発現は増加することから、UGT1A4活性の上昇がクリアランス増加に寄与すると予想される。そこで、本年度は臨床検体32例におけるラモトリギン2-Nグルクロニド/ラモトリギン血中濃度比データを収集した。ラモトリギン2-Nグルクロニド/ラモトリギン血中濃度比は、ラモトリギンのクリアランスと良好な正の相関を示した。さらに、UGTの阻害作用を有するバルプロ酸の併用によって有意に低下し、誘導作用を有するカルバマゼピン、フェノバルビタール、フェニトインの併用によって有意に増加した (p<0.05)。以上により、ラモトリギン2-Nグルクロニド/ラモトリギン血中濃度比は、UGT1A4活性の指標となることが示され、妊娠によるクリアランス上昇を考慮した投与設計に有用であることが示唆された。 レベチラセタムについては、現在臨床検体の収集を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題で定量対象としたすべての化合物の定量系を確立し、ラモトリギンについては臨床データの収集および解析が順調に進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
H28年度の検討により、臨床検体の血中濃度を測定する準備は整った。加えて、ラモトリギンおよびレベチラセタムを服用している患者の臨床データの収集を開始し、ラモトリギンに関しては、クリアランス変動をモニターする指標として、ラモトリギン2-Nグルクロニド/ラモトリギン血中濃度比が有用である可能性を示した。H29年度は、臨床データのうち、妊娠している患者の臨床データの収集を積極的に行う。さらに、当初の計画通り、併用薬および妊娠期間を共変量として母集団薬物動態モデル解析を行い、投与設計の基盤構築を目指す。
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Causes of Carryover |
H28年度は、研究計画が問題なく進み、試薬および消耗品の購入を抑えたため、次年度使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度分として請求した助成金とあわせて、主に消耗品購入および母集団薬物動態解析ソフトのライセンス契約の更新に使用する予定である。さらに、得られた研究成果を発表するために、学会参加するための旅費および論文投稿料にも使用する予定である。
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Research Products
(2 results)