2017 Fiscal Year Research-status Report
統合失調症における認知機能障害の原因解明と治療法への探求
Project/Area Number |
16K18933
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
宇野 恭介 富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 助教 (30608774)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 行動薬理 / 認知機能 / 雌雄差 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は主にShati KOマウスにアデノ随伴ウィルス(AAV)ベクターを用いた回復実験を行った。 WT とShati KO 群における、Y-maze testによる自発的交替行動を測定したところ。雄性のマウスでは両群間に著明な変化は観察されなかったが、雌性のShati KO 群の交替行動率はWT群と比較して有意に低下していた。Novel object recognition testを用いてWT およびShati KO 群の記憶・認知能力を比較したところ、雄性のWTとShati KO の両群の雄性マウスでは、トレーニング (10分間) から24時間後のトライアル (10分間) では、新規物質に対するアプローチ時間がでは有意に増加した。一方、雌性のWTでは新規物質に対するアプローチ時間が有意に増加したがShati KOでは、新規物質に対するアプローチ時間がWTマウスに比べて有意に低下した。 上記における行動実験において雌のみで変化が観察された認知行動に対してAAVベクターによる回復実験を行った。5週齢の雌のKOマウスあるいはWTマウスの海馬CA3領域にAAVを用いてShati/Nat8lを注入し、3週間以上継続後Y-maze test および、Novel object recognition testを行った。Shati KOマウスにmockとしてAAV-GFPベクターを注入した群ではWTに比べて認知行動の減弱が認められたが、AAV-Shatiにより回復させた群においてはその回復が確認された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね計画通り進行しているが、骨形態解析はサンプル数の不足により再度の解析が必要である。また電気生理の実験を行い始めたが、当マウスは冬期には幼若期には生存率が低下することと、実験の立ち上げに少し時間がかかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き当初の計画通り遂行する予定である。 認知機能を検討する行動実験にのみ雌雄差が確認され、またAAVによる回復により海馬でのShati/Nat8lが重要な役割を担っている可能性が考えられたので、その解明のため電気生理学実験や免疫染色などを行い詳細な解析を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
おおむね研究計画通りに進行しているが、使用する動物が冬期になると幼若期の時点で死んでしまうため、予定していた動物数の確保が難しくなり、電気生理の実験に遅れが生じている。そのためこの実験に使用する予定であった試薬等の消耗品の購入が予定していた数よりも少なくなった。次年度に動物数を追加してこの実験を行う予定であるためその実験の消耗品購入代金として使用する。
|
Research Products
(8 results)