2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of drug delivery to posterior segment of the eye by topical instillation of nucleic acid medicine using nanoparticles
Project/Area Number |
16K18948
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
田原 耕平 岐阜薬科大学, 薬学部, 准教授 (30454325)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 核酸医薬 / 点眼 / 後眼部 / 微粒子キャリア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、眼内注射を不要とし点眼により後眼部疾患治療が可能な革新的な核酸医薬微粒子DDS製剤を開発することを目的とする。最終年度では後眼部疾患モデルマウスにより前年度までに確立した核酸医薬送達用ナノ粒子について、点眼による後眼部疾患治療の可能性を明らかにした。最適化した微粒子キャリアに血管内皮細胞増殖因子(VEGF)をターゲットとするsiRNAを用いて、網膜静脈閉塞症(RVO)モデルマウスにsiRNA封入ナノ粒子を点眼することで薬理効果を評価した。その結果、膜透過性ペプチド(オクタアルギニン)や葉酸で修飾したナノリポソームを点眼することで、網膜浮腫を顕著に抑制できることが明らかとなった。点眼されたナノ粒子はまず前眼部の角膜や結膜と相互作用した後、後眼部の網膜へ移行すると考えられている。膜透過ペプチドを用いた場合は、角膜や結膜細胞への細胞内取り込みが未修飾と比較して増大するため、その結果網膜への移行が増大し治療効果を示したと推察された。一方、網膜色素上皮細胞には葉酸受容体が発現しているため、葉酸をナノ粒子表面に修飾することで網膜への標的指向性が向上したことが考えられた。今回の研究結果ではオクタアルギニン修飾と葉酸修飾の優劣をつけることは困難であった。葉酸はオクタアルギニンと比較し、低毒性であることが考えられるが、静電気的相互作用を利用してsiRNAをリポソームへ含有させ、エンドソーム脱出能を付与するためにはカチオン性物質をリポソーム内に含有させる必要がある。膜透過ペプチドを用いることでシンプルなリポソーム処方にすることができるが、濃度によっては毒性が懸念される。葉酸と膜透過ペプチドを組み合わせることで相乗的なsiRNA送達効率向上も期待できると思われる。
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