2017 Fiscal Year Research-status Report
難水溶性化合物Nobiletinの応用的製剤化による新規COPD治療薬の創製
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16K18950
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
佐藤 秀行 静岡県立大学, 薬学部, 助教 (70739242)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 難水溶性化合物 / 粉末吸入製剤 / 溶解性改善 / Nobiletin / 肺疾患 / COPD / 抗炎症作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
柑橘類の皮から発見された難水溶性ポリフェノールの一種であるNobiletin (NOB) は 「炎症」「酸化ストレス」「組織の線維化」「アポトーシス」の抑制作用を有しており,これらはCOPD 病態に密接に関与している.本研究では,NOB の作用を効果的に発現可能な(1) 高溶解性・高分散性の粉末吸入製剤を設計・開発,(2) COPD モデル動物にてその効果を実際に検証し,「気道炎症改善」「肺線維化抑制」及び「病態進行抑制」の3 者を同時に達成することで,新しい機序を有する治療薬の創出に寄与する研究である.本研究は,今後患者数の爆発的な増加が予測されているが,未だ対症療法のみしか提示されていない慢性閉塞性肺疾患(COPD) に対し,有効かつ効率的な治療法の戦略的開発を最終的な目標とする. 昨年度は NOB の可溶化技術として非晶質固体分散体を応用したが,保存安定性試験 (40℃75%RH) 保存条件下にて保存前後での物性の変化を認めた.これは非晶質状態の有する高エネルギー状態に起因する結晶形の変化が関与するものと思われる.そこで,より実用性の高い製剤とするため,保存安定性を重視したナノ結晶固体分散体としての応用を試みた.その結果,溶解性と吸収性は非晶質固体分散体には劣るものの高い保存安定性を有する処方の設計に成功した.本処方の吸入剤としての応用に際し,プリンタ技術を応用した極めて画期的な微粒子調製法を応用し,高い吸入特性を有する微粒子調製を試みている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
非晶質固体分散体製剤に関して保存安定性が懸念事項として上がったため,処方再検討を実施して計画に関して若干の遅れを生じている.また,タバコ煙抽出液による COPD 動物モデル構築においては抽出液の細胞傷害性が強く,安定したモデル作成が困難であった.そこで,以前の検討で開発した卵白由来 ovalbumin 吸入製剤を応用した喘息/COPD モデルラットを用いて検討予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
吸入製剤用粒子の調製に際し,プリンタ技術を応用したマイクロ粒子調製技術を用いた検討を実施している.一般的に吸入製剤には数ミクロン程度の粒子が効率的な薬物送達に適しているとされており,本技術はこのような粒子調製に適する技術である.今後,開発した吸入製剤システムに対して Nobiletin ナノ結晶固体分散体を適用することで,その有用性を着実に明らかとしていく.本研究により生み出される成果は積極的に学会発表および学術論文として広く情報発信していく.
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Causes of Carryover |
平成 28 年度より実施していたタバコ煙抽出液を用いた新規 COPD モデル動物の構築において,病態惹起のためのタバコ煙抽出液の障害性が想定よりも強く,新規吸入製剤の薬効評価において他の COPD モデル動物に変更する必要が生じた.この変更によって計画の見直しが必要となったため.
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Research Products
(11 results)