2017 Fiscal Year Research-status Report
母乳育児の推進を目指した母乳中セロトニンの生理的役割と意義の解明
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16K18953
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
千葉 健史 岩手医科大学, 薬学部, 助教 (80552926)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 母乳 / セロトニン / 高速液体クロマトグラフィー / 固相抽出 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト母乳中のセロトニン(5-HT)濃度に関する報告はほとんどない。ヒト母乳中5-HT濃度を知ることは、新生児や乳児がどのくらいの量の5-HTを1日に服用していることになるのかを知ることになり、この情報は、母乳中5-HTの乳児に対する影響を探る上で重要である。 今年度は、ヒト母乳中に含まれる5-HTの抽出・定量方法の確立を目的に種々検討を行った。岩手医科大学附属病院で出産した4名の健康授乳婦から母乳を得た。授乳婦の平均年齢は34.8歳(32-40歳)であり、出産経験は初産が3名、経産が1名であった。母乳からの5-HTの抽出には、陽イオン交換樹脂が充填された固相抽出カラムのSupel-Select SCX SPE(SPELCO)を用い、定量には蛍光検出器を附属した高速液体クロマトグラフィーを用いた。母乳からの5-HTの回収率および変動係数について評価を行ったところ、回収率は96.1~101.0%、変動係数は3.39~8.62%であった。これらのことから、同カラムを用いた母乳中の5-HT抽出方法は再現性が高く、母乳中の5-HTを効率よく抽出できる方法であることが分かった。また、5-HTおよび内部標準物質(プロカイン塩酸塩)の保持時間は、それぞれ22.5および32.3 minであり、妨害ピークの影響を受けずに両物質の検出が可能であった。また、4名の母乳中5-HT濃度は、11.1~51.1 ng/mlであることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、培養細胞を用いて5-HTによる母乳タンパク質発現の抑制メカニズムについて評価した。平成29年度は、ヒト母乳中5-HTの抽出・定量方法の確立、5-HTの濃度測定を行った。過去2年間の研究計画では、5-HTによる母乳タンパク質発現の抑制メカニズムに関与するシグナルカスケード、ヒト母乳中の5-HT濃度をそれぞれ明らかにすることを目標にしており、これらの目標についてはおおむね達成できたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度については、当初の計画通り、母乳中の5-HTが乳児の消化管発達に対してどのような影響を及ぼしているのかについて調べ、母乳中5-HTの乳児に対する役割を探索していく予定である。実験には新生児マウスを用い、空腸および回腸の組織形態や、消化管バリア機能(タイトジャンクションタンパク質発現)に対する5-HTの影響を評価していく予定である。
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Causes of Carryover |
一部物品の納品時期が遅れたために残額が生じたが、研究計画に支障はない。現時点で残額分の物品は納品済みであり、研究計画に基づいて使用していく予定である。
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Research Products
(3 results)