2016 Fiscal Year Research-status Report
メトロニダゾールによる薬物相互作用機構の解明および新たな相互作用の可能性の検討
Project/Area Number |
16K18959
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
工藤 敏之 武蔵野大学, 薬学研究所, 講師 (10584815)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | metronidazole / 薬物代謝酵素 / トランスポーター / 薬物相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、メトロニダゾール (MTZ) の関与する既知の薬物相互作用メカニズムの解明を目指すとともに、未知の薬物相互作用を起こす可能性について追求する目的で、ヒト由来試料を用いたin vitro試験を行った。 ヒト凍結肝細胞 (3 lot) にMTZを添加し、3日間培養した後、種々のグルタチオンS-転移酵素 (GST) 分子種 (A1、M1、P1) および種々の取り込みトランスポーター (OATP1A2、1B1、1B3、2B1、NTCP) のmRNA発現をreal-time PCRを用いて定量した。その結果、いずれのlotの肝細胞においてもGST分子種の発現にMTZによる有意な変動は認められなかった。また、一部の取り込みトランスポーターの発現はMTZにより減少したが、lot間差が大きく、濃度依存的な影響も認められなかったことから、MTZが取り込みトランスポーターおよびGSTの発現を減少させることよって相互作用が生じる可能性は低いと考えられた。 GSTによるブスルファン代謝に及ぼすMTZの影響についてヒト肝サイトゾルを用いた代謝試験により検討した結果、MTZによるGST阻害は弱く、阻害作用にMTZ濃度依存性も認められなかった。また、dihydropyrimidine dehydrogenase (DPD) による5-フルオロウラシル (5-FU) 代謝に及ぼすMTZの影響についても同様にヒト肝サイトゾルを用いた代謝試験により検討した結果、MTZによるDPD阻害は弱く、阻害作用にMTZ濃度依存性も認められなかった。以上の結果から、臨床におけるMTZとブスルファンおよび5-FUとの相互作用は、MTZがGSTおよびDPDの活性を直接阻害することあるいはGST発現を減少させたことに起因する可能性は低いと考えられた。 また、ヒト肝ミクロソームを用いたCYP代謝阻害試験を種々の緩衝液条件下で行った結果、複数の代謝酵素により代謝を受ける基質におけるそれぞれの酵素の寄与率は、代謝試験に用いる緩衝液の種類および濃度に依存して異なることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特に問題なく実験を進めることができ、本研究の成果の一部について学会で発表できた。さらに、直近の学会でも発表する予定があり、概ね順調に研究が進められていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト肝ミクロソームを用いてCYP2C19、uridine diphosphate glucuronosyltransferase (UGT) など未検討の代謝酵素による代謝試験の実験系を確立し、それら代謝酵素に対するMTZの阻害活性を評価する。また、MTZ代謝物が薬物代謝酵素およびトランスポーターの発現・活性に及ぼす影響についてもMTZ代謝物が入手でき次第検討する予定である。
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Causes of Carryover |
計画していた実験の一部を次年度に繰り越したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度同様、試薬などの消耗品の購入に充てる予定である。
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Research Products
(5 results)