2016 Fiscal Year Research-status Report
5-FU系抗癌剤の副作用症例における先天性ピリミジン代謝異常症の診断
Project/Area Number |
16K18961
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
中島 葉子 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教 (70598309)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 5-FU関連抗癌剤 / ピリミジン代謝異常症 / 薬物代謝スクリーニング / 遺伝子検査 |
Outline of Annual Research Achievements |
5-FU関連抗癌剤投与にて副作用を呈した症例におけるピリミジン代謝異常症の診断を行うため、院内において検体採取から検査施行、主治医への結果報告までの流れをプロトコール化し、本研究の周知のために院内での研究発表、癌治療に関わる他科との研究会議などを行った。 尿検体は除蛋白フィルターを使用後にUPLC-MS/MSを用いてピリミジンおよびその代謝物質を測定し、短時間でピリミジン代謝異常症の診断に必要な6種類の物質を一斉に測定することが可能となった。また、定量性を高めるためスタンダードキャリブレーションカーブを作成し各物質において定量可能な測定系を確立した。尿中ピリミジン分析に関してはコントロール検体の測定を行い、各物質の基準値を作成した。5-FU副作用症例の尿中ピリミジン分析は数例施行したが、現時点ではピミジンン代謝異常症に特異的な分析結果を呈した症例は認めず、5FU副作用症例においてDPD欠損症、ジヒドロピリミジナーゼ欠損症、βウレイドプロピオナーゼ欠損症(βUP)の確定診断をした症例は認めない。ピリミジン代謝異常症を疑った小児例においては尿中ピリミジン分析と遺伝子検査を施行しβUP欠損症の確定診断を行った。 一方、ウラシル・チミンの分解経路の第一律速酵素であるジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ(DPD)欠損症の保因者、すなわち同酵素の部分欠損症では、尿中ピリジン分析で診断することができないが、DPD部分欠損であっても5-FU関連抗癌剤投与によって重篤な副作用を呈することが知られている。そのため患者の末梢単核球を用いたDPD酵素活性測定系の検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究対象が限られており、採取可能なサンプル数が少なかった。当科で処方することはほとんどなく、他の部署での検体収集となるため、マンパワー的に検体採取が難しかった。年度末の人事異動のたびに本研究の案内を行わなくてはならず、院内全体への周知が難しいため。
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Strategy for Future Research Activity |
対象である5-FU関連抗癌剤の副作用症例の基準を重篤な副作用のため投与中止となった症例のみではなく、軽度の副作用により減量を必要とした症例についても対象とし、サンプル数の増加を図る。
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Causes of Carryover |
遺伝子検査に必要な物品は当研究室ですでに購入している消耗品を使用したため、新規に購入する必要がなかったから。本研究では尿中ピリミジン分析にてスクリーニングを施行し、ピリミジン代謝異常症を生化学的に診断した症例に対して確定診断として遺伝子検査を施行する予定だが、本年度は遺伝子検査を施行した検体数が非常に少なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は対象を増やしサンプル数を増やす。またピリミジン代謝異常症疑いの症例については積極的に遺伝子検査を施行する予定であるため、遺伝子解析に必要な物品の購入に使用する。また、末梢単核球中のジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ酵素活性測定の実験系を確立するために必要な物品にも使用する予定である。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] A Japanese case of β-ureidopropionase deficiency with dysmorphic features.2017
Author(s)
Akiyama T, Shibata T, Yoshinaga H, Kuhara T, Nakajima Y, Kato T, Maeda Y, Ohse M, Oka M, Kageyama M, Kobayashi K
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Journal Title
Brain Dev
Volume: 39(1)
Pages: 58-61
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant