2016 Fiscal Year Research-status Report
表面プラズモン共鳴(SPR)法による医薬品と飲食物成分間の相互作用解析
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16K18970
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
原口 珠実 武庫川女子大学, 薬学部, 助教 (10550741)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | SPR |
Outline of Annual Research Achievements |
クロロゲン酸による医薬品の苦味抑制効果について味覚センサを用いて評価し、さらに医薬品-クロロゲン酸間の分子間相互作用について評価した。アムロジピンべシル酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩、ドネペジル塩酸塩、レバミピド、ジクロフェナクナトリウム、エトドラクを対象医薬品として使用した。味覚センサは味認識装置 (SA402B, インテリジェントセンサーテクノロジー株式会社) を用い、各医薬品 (0.01, 0.05, 0.10, 0.50, 1.00, 2.00 mM) にクロロゲン酸を混合した試料を測定し、クロロゲン酸による各医薬品の苦味抑制効果を評価した。また、分子間相互作用解析にはSPR-Navi (BioNavis) を用い、クロロゲン酸を固定した金薄膜に各医薬品溶液を作用させた場合の表面プラズモン共鳴 (Surface Plasmon Resonance: SPR) 現象による応答を評価した。さらに、クロロゲン酸による医薬品の苦味センサ膜応答抑制率と、SPR解析から得たクロロゲン酸と医薬品の結合定数KD、結合速度定数ka、解離速度定数kdとの相関性について評価した。クロロゲン酸による苦味センサ膜応答抑制率が高い医薬品ほどクロロゲン酸と医薬品の結合速度定数kaが大きい傾向が確認された。クロロゲン酸と結合しやすい医薬品はクロロゲン酸により効果的に苦味が抑制されることが示唆された。特に塩基性医薬品の苦味はクロロゲン酸により効果的に抑制され、その効果には医薬品とクロロゲン酸間の分子間相互作用が関与することが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度までに、医薬品とクロロゲン酸間の分子間相互作用が医薬品の苦味抑制に寄与する可能性を示すことができた。平成29年度は味受容体たんぱくと医薬品またはクロロゲン酸等の苦味抑制物質との相互作用解析を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト苦味受容体応答と相関性の高い味覚センサ膜を用いて各医薬品に効果的な苦味抑制物質を飲食物の成分から探索し、その抑制メカニズムについてSPR法により評価する。またヒト苦味受容体たんぱくを金薄膜に固定する方法を確立し、医薬品と苦味抑制物質間だけでなく、苦味受容体と医薬品または苦味抑制物質との相互作用についても評価する。
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Causes of Carryover |
当初の見積もりよりも安価で遠心機の購入が可能であったこと、ヒト苦味受容体たんぱくの購入を予定しているがまだ購入していないことから次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ヒト苦味受容体と苦味物質または苦味抑制物質の相互作用の検討のために、ヒト苦味受容体たんぱくを購入し、実験を進める予定である。
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