2016 Fiscal Year Research-status Report
非アルコール性脂肪肝疾患に対する新規ビタミンEエステル型プロドラッグの効果
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16K18971
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
渡瀬 大輔 福岡大学, 薬学部, 助教 (00580200)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 脂肪肝 / プロドラッグ |
Outline of Annual Research Achievements |
肝細胞癌HepG2にパルミチン酸 (PA) を添加して作製したin vitro脂肪肝モデル を用いて、本研究室で開発したγ-トコトリエノール (γ-T3) の水溶性プロドラッグである2R-γ-Tocotrienyl N,N-dimethylglycinate hydrochloride (γ-T3DMG) のトリグリセリド (TG), 総コレステロール (TCHO) 生成に対する効果及びその効果発現メカニズムを評価した。対照薬物としてγ-T3と、現在臨床でNAFLD治療に使用されるα-トコフェロール (α-Toc)を用いた。 1. in vitro脂肪肝モデルにおいて、細胞増殖抑制を起こさない薬物添加時間及び濃度の検討を行った結果、薬物添加24時間及び40μM以下の濃度で効果評価を行うことに決定した。 2. in vitro脂肪肝モデルにおいて、PAの非添加群に対してPAを添加したコントロール群では、細胞内のTG及びTCHO量が有意に増加した。TG量は、コントロールと比較して、α-Toc, γ-T3及びγ-T3DMGの10μM添加群に差は見られなかったが、40μM添加では、すべての薬物添加群において有意に減少した。TCHO量は、コントロールと比較して10μMにおいては、γ-T3DMG添加群のみ有意に減少し、40μMでは、すべての薬物添加群において有意に減少した。 3. in vitro脂肪肝モデルにおけるγ-T3DMG のTG及びTCHO量抑制効果のメカニズムを明らかにするため、脂質代謝関連因子 (LXRα, SREBP-1c, SREBP-2, FASN, MTP, CPT-1a, PPARα, LDLR, HMG-CoAR)について、今現在、リアルタイムRT-PCR法及びウエスタンブロット法を用いて解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
トリグリセリド及びコレステロールを主な構成成分とする脂肪滴の生成量に及ぼすγ-T3DMGの効果評価が必要であると考え、Oil red Oを用いた脂肪滴染色実験を追加したため、当初計画していたリアルタイムRT-PCR法及びウエスタンブロット法を用いた効果発現メカニズムの解明実験にやや遅れが生じた。 追加実験に関して下記の結果が得られた。 in vitro脂肪肝モデルにおいて、パルミチン酸 (PA) の非添加群に対してPAを添加したコントロール群では、細胞内の脂肪滴が有意に増加した。コントロールと比較して、薬物添加24時間後においてγ-T3DMG 40μM添加群の脂肪滴は有意に減少した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、in vivo脂肪肝モデルにおけるγ-T3DMGによる効果を明らかにする目的で、TSODマウス及びその対照モデルであるTSNOマウスを用いて効果評価を行っていく予定である。また、今現在遅れているin vitro脂肪肝モデルにおけるリアルタイムRT-PCR法及びウエスタンブロット法を用いた効果発現メカニズムの解明実験も併行して行う予定である。
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Causes of Carryover |
リアルタイムRT-PCR法及びウエスタンブロット法を用いた効果発現メカニズムの解明実験にやや遅れが生じ、それに合わせて関連する試薬の購入を遅らせたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の物品費として、試薬購入費用に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)