2017 Fiscal Year Research-status Report
非アルコール性脂肪肝疾患に対する新規ビタミンEエステル型プロドラッグの効果
Project/Area Number |
16K18971
|
Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
渡瀬 大輔 福岡大学, 薬学部, 助教 (00580200)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | プロドラッグ / NAFLD |
Outline of Annual Research Achievements |
In vivo脂肪肝モデル(TSODマウス及び対照モデルのTSNOマウス)を用いて、本研究室で開発したγ-トコトリエノール (γ-T3) の水溶性プロドラッグである2R-γ-Tocotrienyl N,N-dimethylglycinate hydrochloride (γ-T3DMG)の脂肪肝抑制効果及びその効果発現メカニズムを評価した。対照薬物としてγ-T3と、現在臨床でNAFLD治療に使用されるα-トコフェロール(α-Toc)を用いた。7週齢マウスを搬入後、8週齢より連日強制経口投与を行った。また、初回通過効果を回避できγ-T3DMG本体の効果を確認できる腹腔内投与による評価も行った。 1. γ-T3DMG経口投与によりTSODマウスの皮下脂肪量、後腹膜脂肪量、血漿中ALT活性、血漿中トリグリセリド(TG)濃度及び肝臓中総コレステロール(TCHO)濃度は有意に減少した。TSODマウスのγ-T3DMG投与群の肝臓中のγ-T3量は、γ-T3投与群と比較して約1.5倍に高くなっていた。 2. γ-T3DMG腹腔内投与によりTSODマウスの体重、皮下脂肪量、後腹膜脂肪量、血漿中ALT活性及びTCHO濃度は有意に減少した。 3. in vivo脂肪肝モデルにおけるγ-T3DMGのTG及びTCHO量抑制効果のメカニズムを明らかにするため、肝臓中の脂質代謝関連因子 (LXRα, SREBP-1c, SREBP-2, FASN, MTP, CPT-1a, PPARα, LDLR, HMG-CoAR)について、今現在、リアルタイムRT-PCR法及びウエスタンブロット法を用いて解析中である。 γ-T3DMGは、 γ-T3投与よりも効果的にγ-T3を肝臓へ送達し、α-Tocおよびγ-T3よりも優れたALT活性抑制効果及び脂肪抑制効果を有することが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
In vivo脂肪肝モデルにおけるγ-T3DMG投与がγ-T3投与よりも優れた脂肪肝抑制効果を示した原因として、γ-T3DMG投与はγ-T3投与よりもγ-T3を肝臓中に効率的に送達したのではないかと仮説を立てた。この仮説を明らかにするために肝臓中の薬物量の測定実験を追加したため、当初計画していたリアルタイムRT-PCR法及びウエスタンブロット法を用いた効果発現メカニズムの解明実験にやや遅れが生じた。 追加実験に関して下記の結果が得られた。 TSODマウスのα-Toc投与群のα-Toc量は他の群と比較して約8倍程度有意に高くなった。一方で、TSODマウスのγ-T3投与群及びγ-T3DMG投与群のγ-T3量は、vehicle群と比較してそれぞれ約20倍、約30倍に高くなった。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、今現在遅れているリアルタイムRT-PCR法及びウエスタンブロット法を用いたin vivo脂肪肝モデルにおけるγ-T3DMGの効果発現メカニズムの解明実験を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、当初計画していたリアルタイムRT-PCR法及びウエスタンブロット法を用いた効果発現メカニズムの解明実験にやや遅れが生じたためであり、次年度それらの実験に使用する試薬を購入するための費用として全て使用する予定である。
|
Research Products
(2 results)