2016 Fiscal Year Research-status Report
FcRLの分子認識機構に着目したリガンド抗体分子探索と機能解析
Project/Area Number |
16K18973
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
木吉 真人 国立医薬品食品衛生研究所, 生物薬品部, 研究員 (60754314)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | FcRL / SPR / 親和性 / 分子間相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
Receptor-like protein (FcRL)は、主としてB細胞に発現し、免疫グロブリン(Ig)と結合する受容体タンパク質である。FcRLにはFcRL-1,2,3,4,5,6,A,Bのサブタイプが存在し、抗原提示、B細胞の分化、抗原抗体複合体(Immune Complex)の保持などへの関与が示唆されており、免疫学的観点から注目されている。FcRLはリガンドとしてIgGに結合することが示唆されている。しかし、各サブタイプのFcRLがそれぞれどのアイソタイプのIgGに結合するのか、リガンドの詳細な同定はなされていない。投与された抗体医薬品がFcRLに結合するのであれば、抗体医薬品の体内動態等に著しい影響を及ぼすと考えられる。さらに、結合によってB細胞を介した免疫応答を引き起こすのであれば、抗体医薬品の有効性、安全性への影響は非常に大きいと考えられる。各サブクラスのFcRL蛋白質を調製し、抗体医薬品や各アイソタイプの抗体との親和性の解析により、FcRLのリガンド結合特性を明らかにする。また、糖鎖構造等、IgGの翻訳後修飾とFcRL親和性の関連を明らかにする。 本実験では、まず各サブタイプのFcRL蛋白質溶液を調製した。各サブタイプのFcRL蛋白質溶液を調製した後、表面プラズモン共鳴(SPR)のセンサーチップ上に固定化した。次に各アイソタイプのIgGをアナライトとして流路に流したが、FcRLへの結合は確認できなかった。これは、センサーチップ上に固定化されたFcRLの、溶液中での安定性に問題があるのではないかと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
各サブタイプのFcRL蛋白質と、各アイソタイプのIgGとの親和性を測定したが、結合は確認できなかった。調製したFcRL蛋白質の安定性が低く、活性を失っている可能性がある。センサーチップ上への固定化方法を変更する必要があると考えられる。さらに。、FcRL蛋白質の熱安定性を精査する必要がある。円二色性(CD)スペクトル、示差走査型熱量計(DSC)等の手法を用いて、溶液中での安定性を評価する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
FcRLはセンサーチップ上で失活している、そもそも安定性が非常に低い、もしくは、FcRL単独ではIgGに対して親和性が高くない、などの可能性が考えられる。様々な可能性を考慮し、蛋白質の物理性質の評価を行う。続いて、細胞発現、認識メカニズムの解明といった、生化学的研究を行う。
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Causes of Carryover |
研究が困難な状況に直面したため、また、初年度は細胞構築などの研究を行わなかったため、所要額に満たなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、引き続き相互作用解析を行い、さらに細胞構築などの生化学的実験を中心に行う。
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