2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K18978
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
加村 啓一郎 大阪大学, 生命機能研究科, 助教 (30604483)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Hippoシグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、Hippoシグナル経路を改変した細胞を発現させたマウス細胞競合モデルを利用して、マウス発生過程から成体の各組織に至るまで、いつ・どこで細胞競合が起こるのかを広く明らかにし、成体における細胞競合の普遍性・特異性の解明を目指していた。 上記目的に沿って、昨年度、各組織における細胞競合の有無を調べたが明確な違いは示せていなかった。一方、モザイク状に誘導したマウスのコントロールとして、全身でYapを発現するマウス(Tgマウス)の解析も同時に進めていたところ、新たな表現型として、成体での肥満が観察されたため、本年度はそちらの解析を積極的に進めた。 肥満は、一般的には正常よりも体重、体脂肪が多い状態のことを指すが、細胞レベルで見ると脂肪細胞の肥大と増殖としてとらえることができる。しかし、脂肪細胞の肥大の上限がどのように決まっており、肥大と増殖がどのように切り替っているのかということについて、その分子メカニズムはいまだによく分かっていない。 上記Tgマウスでは、Yapを全身で弱く過剰発現しているが、主要な臓器に外見上の異常はなく、脂肪組織だけが異常に大きくなっていた。また、組織切片を切ってみると、脂肪細胞の肥大が観察された。現在、脂肪細胞特異的にYapを弱く過剰発現するトランスジェニックマウスを作製しており、予備的ではあるが、やはり脂肪細胞の肥大が観察されている。これらのことから、細胞の増殖制御に関わることが知られているHippoシグナル経路が、脂肪細胞では細胞の肥大の制御に関わっている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画と異なるTgマウスの新規の表現型として脂肪組織が増大するという結果を得たため、新たな脂肪組織の解析や新たなTgマウスの交配に想定以上に時間を要したものの、Hippoシグナルと脂肪細胞をつなぐ面白いメカニズムがわかりつつあるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、成体における肥満の表現型に焦点をあてて、Hippoシグナルが脂肪細胞の分化・成熟に果たす役割について解析を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
当初計画とは異なるTgマウスの新規の表現型として脂肪組織が増大するという結果を得たため、新たな脂肪組織の解析や新たなTgマウスの交配に想定以上に時間を要し、引き続き実施する必要があるため。
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