2017 Fiscal Year Research-status Report
脳室周囲器官は炎症情報を脳実質に伝える窓口である-血管周囲免疫細胞の役割-
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16K18980
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
森田 晶子 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (70647049)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | IL-1β / 脳室周囲器官 / 骨髄由来細胞 / エンドトキシン耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳は血液脳関門によって血中の有害な物質から守られている。翻せば、血中に有害な物質が存在しても、脳のすべての部位で感知できるわけではない。しかし血中のエンドトキシンは発熱や食欲不振といった脳を介する反応を引き起こす。脳弓下器官は脳の中でも血液脳関門を持たず、エンドトキシンを含む様々な血中分子の受容体を持つので、血中の分子が自由に侵入する部位であると考えられてきた。本研究は、なぜ一般的な脳部位は血液脳関門により保護されているのにもかかわらず、脳弓下器官は血液脳関門を持たなくてもさしつかえないのか、脳弓下器官におけるエンドトキシン感知機構に着目して遂行した。脳弓下器官でも、血中のエンドトキシンLPSは神経細胞が存在する脳実質に拡散せずに、血管周囲に限局することを認めた。血管周囲には末梢骨髄細胞由来のマクロファージが集積し、LPS投与により炎症性サイトカインIL-1βを発現した。LPS前投与によりその後のLPSに対する全身反応が減弱する「エンドトキシン耐性」状態においては、脳弓下器官の骨髄由来マクロファージ数が増加するとともにIL-1β発現が減衰した。これらの結果は血液脳関門がない脳弓下器官でも血中のエンドトキシンは神経細胞が存在する領域からは隔絶されていること、このエンドトキシンの感知には末梢由来のマクロファージが役割を持つことが示唆された。つまり、脳弓下器官は血液脳関門を持たないからというよりは末梢由来のマクロファージが集積しているからエンドトキシンを感知できるのではないかと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は産前産後休暇並びに育児休暇のために研究をほとんど遂行できなかった。しかし、平成29年度には、平成28年度分の研究に加えて、平成30年度に繰り越した分の研究も一部行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に引き続き、所属大学の女性研究者支援制度を利用して基本的な実験は委託し、残りの実験計画も迅速に遂行する。
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Research Products
(2 results)