2016 Fiscal Year Research-status Report
成体期海馬神経幹細胞の起源探索および海馬歯状回顆粒細胞層形成メカニズムの解析
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16K18983
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
篠原 広志 東京医科大学, 医学部, 助教 (10455793)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 海馬歯状回 / 顆粒細胞層 / in utero electroporation / 顆粒細胞 / 神経幹細胞 / ニューロン新生 |
Outline of Annual Research Achievements |
海馬は記憶・学習に極めて重要な脳領域である。この海馬歯状回の下流細胞層下帯では、成体期までニューロン新生が続く特徴がある。しかしこの成体期ニューロン新生がいつ・どこから産生された神経幹細胞によってもたらされるかは不明であった。本研究によって、我々は様々な発生時期の海馬歯状回原基の神経幹細胞を標識することを可能とした。この手法によって、成体期で維持され続けている神経幹細胞がいつ誕生するのかを明らかにすることができる。 またこれまで謎であった海馬歯状回の顆粒細胞層の層形成メカニズムの解明も可能となる。 これまでに、胎生期の初期に標識された、つまり胎生期初期に移動する神経幹細胞から形成される顆粒細胞は、生後2週後において顆粒細胞層のより外側(軟膜側)に分布することが明らかとなった。一方、胎生期の中期、後期となるにつれ、顆粒細胞層に配置される顆粒細胞は、層全体の外側から内側(歯状回門)方向へとその分布位置に変化が認められることがわかった。 一方、胎生期に標識された神経幹細胞が生後においてもなお、神経幹細胞として、顆粒細胞層下帯へと存在していることが確認された。 本研究によって得られる成果によって胎生期から成体期の海馬歯状回形成を包括的に理解する研究分野の創生となり、失われた中枢神経系を復活させる再生医療への発展や、精神疾患研究へと展開する基盤研究へと繋がる情報提供となり得るものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、発生過程によって海馬歯状回の顆粒細胞層を形成する細胞分布位置が異なっていることが明らかになってきており、顆粒細胞層層形成の機序についてわかりつつある。また胎生期から生後まで幹細胞性を維持し続けている神経幹細胞の存在も顆粒細胞層下帯において確認された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、例数を増やし、定量的な解析を行って、胎生期の各時期間の比較を顆粒細胞の分布位置および神経幹細胞の数について行っていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
消耗品費として計上していた分子生物学実験試薬および培養試薬・器具について、研究者所属研究機関へ既存の物品を使用することによって、予定していた出費の必要が無く研究を遂行することができたためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験データの例数確保のために、より多くの実験が必要となる。その際に用いる消耗品費として使用して生きたいと考えている。
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