2016 Fiscal Year Research-status Report
クラスII型PI3キナーゼによる受容体エンドサイトーシスと小胞シグナリングの制御
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16K18988
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
安藝 翔 金沢大学, 医学系, 助教 (80767210)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | PI3キナーゼ / ホスホイノシタイド / 細胞内小胞輸送 / エンドサイトーシス / 血管内皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
膜動現象の作動には形質膜や細胞内小胞器官膜の適所におけるホスホイノシタイド(PI)の産生が必要である。PI合成の律速酵素PI3キナーゼ(PI3K)は3クラスが存在し、最も研究の進んでいるI型PI3KはPI(3,4,5)P3を産生して細胞遊走、貪食作用、飲作用や細胞増殖シグナル産生に関与し、III型PI3K-Vps34はPI(3)Pを産生してオートファジーを制御する。一方II型PI3Kの機能は、申請者のグループがPI3K-C2αノックアウト(KO)マウスの表現型(血管新生の著しい障害による胎生致死)を報告するまで不明であった。内皮細胞においてPI3K-C2αは主としてPI(3,4)P2を産生し、VEGF、TGFβやS1Pなど血管形成因子受容体のエンドサイトーシスとその後の細胞内小胞での受容体シグナリングに必要であることを明らかにした(Nature Med 2012, J Biol Chem 2013, 2015)。 本研究ではPI代謝に注目し、脂質代謝を司る種々の酵素による細胞内及び生体内にける調節機構に焦点を当てる。申請者らは既に、クラスII 型PI3K-C2αがTGFβ1-Smad2/3 シグナル伝達経路を介した血管新生調節に必須な分子であることを見出している(J Biol Chem 2015)。TGFβ刺激によって誘発される各種PIのレベルを、PI特異的蛍光プローブに結合するタンパクドメイン発現ベクターを用いた共焦点蛍光顕微鏡下のリアルタイム単一細胞イメージング法により、1)各PIレベルの変化、2)PIレベルが変化を示す細胞内部位、3)PI代謝を調節するPIホスファターゼ及びキナーゼを明らかにした。 本研究で得られた成果は、受容体内在化の詳細な分子機構の解明及び生体レベルにおける生理的機能への影響、延いては脂質代謝異常が起因する疾患発症メカニズム解析の重要な知見となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度に計画した細胞内小胞輸送におけるホスホイノシタイド代謝の役割の解明は概ね順調に進めることができた。 現在、平成29年度に計画した血管平滑筋特異的PI3K-C2α/β ダブルKO マウス(PI3K-C2α/β-smdKO)を作出、胎児解析を行なっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は以下の項目について検討する。 1) PI3K-C2a経路で作用する他のホスホイノシチド代謝酵素の同定と細胞内局在や活性調節機構を解明する。2) PI3K-C2α/β-smdKO マウスの死亡時期の同定:PI3K-C2α/β-smdKO マウスを解析し、マウスの発生・成長過程における死亡時期を同定する。3) PI3K-C2α/β-smdKO マウス死亡原因の解明:PI3K-C2α/β-smdKO マウスの組織切片を作製し、一般染色、免疫組織染色、電子顕微鏡による微細細胞構造の観察により、PI3K-C2α/β-smdKO マウスが死亡に至る原因及びメカニズムを解明する。4) PI3K-C2α/β-smdKO マウス由来平滑筋細胞におけるTGFβ1-Smad2/3 シグナル伝達系の評価:ウェスタンブロット法、蛍光免疫細胞染色法などを用いて、PI3K-C2α/β-smdKO マウス由来平滑筋細胞におけるTGFβ1-Smad2/3 シグナル伝達系の評価及びリアルタイムPCR によるTGFβシグナル伝達系分子のmRNAレベルの変化を解析する。5) PI3K-C2α/β-smdKO マウス由来平滑筋細胞におけるホスホイノシタイドイノシタイドの評価:PI3K-C2α/β-smdKOマウス由来平滑筋細胞にPI(3, 4)P2特異的プローブGFP-TAPP1 またはPI(3)P特異的プローブGFP-FYVE を導入し、細胞内ホスホイノシタイドイノシタイドレベルを評価する。
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Research Products
(2 results)