2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K18991
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
孫 紅キン 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (20773542)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 味覚 / 塩味 / イオンチャネル |
Outline of Annual Research Achievements |
食塩の過剰摂取は高血圧症に関わるが、その背景には塩の「美味しさ」がある。これを司る上皮型ナトリウムチャネル (ENaC)依存性塩味受容の細胞分子メカニズムは未解明である。本研究は、舌における味覚センサー器官である味蕾における塩味の符号化様式を解明すべく、コンディショナル・ジーンターゲティングによるリバースジェネティクスの手法を駆使して塩味受容の細胞基盤の解明を目指す。本年度は、上記目的達成のために、味蕾におけるENaCサブユニットの遺伝子発現解析のためのマウスモデルの作出、および、独自に作出したCreドライバーマウスとScnn1a-floxedマウスを交配させて細胞種選択的ENaCノックアウトマウスの作出を行った。発現解析では、これまで知られていなかったENaCを発現する固有の味細胞種の存在を示唆するデータを得た。I型・II型・III型という従来の味細胞分類に当てはまらない細胞種を同定することができた。また、この細胞種選択的なENaCノックアウトマウスの作出は、昨年度はScnn1a-floxedマウスの個体化でトラブルがあり遅滞していたが、今年度はその問題も解決し順調に作出が進んでいる。今年度は、このマウスを用いて、組織学的に同定したENaC発現味細胞が実際に塩味受容に寄与しているかどうかを味覚行動実験・味神経応答記録などを用いて実験を行う準備が整った。さらに塩味の細胞基盤だけでなく、神経伝達分子機構を示唆するデータも得られており、塩味の細胞・分子基盤の解明が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、昨年度に個体化に成功したENaCa floxedマウスの数を増やし、我々が保有するCreドライバーマウスと交配させ、味細胞種選択的ENaCノックアウトマウスの作成を行った。floxedアリルに関してホモ接合体にし、かつCreドライバーアリルをもつマウスの作出には交配回数がかかり、時間がかかったが、ようやくコンディショナルノックアウトマウスの作出の最終段階にまで到達した。昨年度のマウス胚からの個体化のトラブルの影響もあって計画よりは遅れているが、その後は順調に進んでいると言える。また味蕾における発現解析では、良いENaCサブユニット抗体がなく、in situ hybridizationも感度よくENaC発現を検出できなかったため、より信頼性の高い解析を行うために複数のトランスジェニックマウスを作出している。これも想定以上に組織解析に時間がかかっている原因であるが、マウス作出は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の通り、組織解析・個体の塩味受容応答解析に供する遺伝子改変動物の作出に当初手間取っていたが、その後は順調に計画通り進んでおり、見通しは明るい。来年度は、計画通り計画通りコンディショナルENaCaノックアウトマウスの塩味応答解析を行動実験および神経応答記録を用いて解析し、また味蕾におけるENaC発現パターンの詳細を解析して、味蕾における塩味コーディング様式を明らかにしていく。
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Research Products
(5 results)